胃手術後の障害:胃切除後貧血

赤血球を合成するためには、鉄分とビタミンB12が欠かせません。鉄分を食物から吸収するためには、胃酸の働きが必要です。またビタミンB12の吸収には、胃粘膜で分泌され、正常な赤血球の生産にかかわるビタミンB12結合たんぱく質内因子が関与しています。

胃を切除することによって鉄分とビタミンB12の吸収が不足すると、赤血球の合成に支障をきたし、結果として貧血を起こすことがあります。

鉄分の欠乏に起因するのは鉄欠乏性貧血で、ビタミンB12および内因子の欠乏に起因するのは巨赤芽球性貧血です。

胃の部分切除をした人の約35%、全摘した人の約70%に貧血が現れるといわれます。胃切除後貧血は、術後3年以上たってから起こることが多いようです。

胃切除後貧血は、術後早期から鉄剤、ビタミンB12、葉酸の投与によってある程度、予防することができます。食事では、鉄分やビタミンB12を多く含むレバーなどをとるように心がけましょう。

胃切除後症候群は適切な治療によって、ある程度軽減させることが出来ますが、大きな鍵を握るのは、患者本人の術後管理です。

切除前のからだの状態、切除方法、そして術後の回復度によって、症状の現れ方は個人差がでます。自分にはいつどうような症状がでやすいのか、何を食べた時、何を飲んだ時に起こるのかきちんと把握し、それに合わせた食習慣をつくることが大切です。

胃切除後症候群全体についていえることですが、食べ物は十分に噛むようにします。
歯を丈夫に保ち、胃の代わりに口でしっかり攪拌するつもりで、一口50回を目標に、少しずつゆっくりと食べましょう。十分噛むことは、下痢の予防にもなります。

暴飲暴食は厳禁です。1回の食事量については、自分の適量を把握しましょう。
食べ過ぎないように、常に腹6~7分目を目安にします。

からだに取り入れるエネルギーと消費するエネルギーのバランスをとり、ウォーキングなど適度な有酸素運動を続けて骨量と筋肉量を増やし、体重の増加を図ることも大切です。

胃がんの手術の場合、精神的ダメージも相当大きいはずです。術後も何となく違和感がついてまわり、しばしば不定愁訴として現れます。だるさや脱力感は、心身的な症状として現れることもあります。

胃の切除という事態を受容して、心身を日常生活に適応させていく努力が欠かせません。


       
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