胃がんとは

胃は、「胃袋」とも言うように、食道に続く嚢状の器官で、食べたものを一時蓄えたり消化したりする働きをしています。食道に続く部分(噴門と言います)と十二指腸に続く部分(幽門と言います)は周囲の臓器に固定されていますが、それ以外の部分は割と自由に動きますので、体の位置(横になっているか、立っているか)や食べたものの重さによって胃の位置が変わります。

胃の入口から出口に向かって、各部位は噴門部、胃体部、胃角部、前庭部、幽門部と言われています。

 胃の内側は粘膜で覆われ、外側は腹膜(漿膜とも言います)で覆われています。その間に胃を動かす筋肉の層(これを固有筋層と言います)があります。


また、この3つの層の間には細胞が少なく線維が多い組織があります。粘膜と固有筋層との間の層を粘膜下層、漿膜と固有筋層との間の層を漿膜下層と呼んでいます。このため、胃の壁は内側から、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜の5層から成り立っています。


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胃がんは胃の粘膜から発生してきます。胃にはそのほか肉腫や悪性リンパ腫なども出来てきますが、胃の悪性腫瘍の大多数(95パーセント以上)は「がん」によって占められています。したがって、胃の悪性腫瘍といえば「がん」のことを指しています。

 この胃がんはどれぐらい発生しているのかというと、愛知県の衛生部で毎年発行しています「愛知県のがん登録」によりますと、平成17年に全体で27,748名(男性16,371名、女性11,377名)の人が新たに悪性腫瘍に罹られていました。

 男性で最も多い癌は肺がんであり、胃、前立腺、結腸、肝および肝内胆管および直腸とつづき、女性で最も多い癌は乳がんであり、胃、結腸、肺と続いています。全体に対する胃がんの占める割合は、男性18.2%、女性12.7%でした。

 このように、胃がんは食生活の変化や検診の普及で減ってきていますが、それでも日本人にとってもっとも身近な悪性腫瘍の1つといえます。特に注意が必要なのは加齢とともに胃がんの罹患率が上昇することです。



胃がんの症状

 胃がんそのものによる症状と、胃がんに付随して起きる胃炎などによる症状とがありますが、その区別はなかなか困難です。 一般的には早期胃癌には症状は無く、がんの進行によって症状が出現します。早期胃癌の症状は、合併する胃潰瘍や慢性胃炎の症状のことが多いと言われています。

 食思不振、悪心・嘔吐食欲がなくなったり、ムカムカして吐いたりすることです。胃がんによって消化管の内腔が狭くなり、食べたものの通過が悪くなって胃が重い感じがし、そのため食欲がなくなったり、吐いたりすることがあります。また合併している胃炎や潰瘍のために悪心・嘔吐が起こることもあります。

 るいそう、全身倦怠いわゆる「痩せる」ことと体がダルイことです。食思不振や悪心・嘔吐によって痩せたり倦怠感が出ることもありますが、たくさん食ベていてもがんに栄養を取られたり、がんからの出血のために痩せたり脱力感に陥ることがあります。

 吐血・下血血を吐いたり便が「のり」のように黒くなったりすることです。
がんの表面が崩れて出血するために起こる症状ですが、合併あるいは併存する胃潰瘍などでも起きることがあります。少量でも持続的に出血していると貧血になります。

 腹痛・腹部不快感みぞおちや臍の上などが痛む場合や食事の前後に腹部に鈍痛やすっきりしない感じがあらわれたりします。がんに特有な症状ではありませんが、多くの患者さんに認められる症状の一つです。

 胸焼け普通、逆流性食道炎で起こる症状ですが、食道と胃の境界にがんができると食物の流れが悪くなり、食後にものがつかえることや食べ物がこみあがってくることがあります。


胃がんの診断

胃内視鏡検査

いわゆる「胃カメラ」と呼ばれる検査です。
直径10ミリほどの長い管(スコープと呼んでいます)を口から胃の中に挿入して、胃の粘膜面を直接細かく観察し、必要に応じて組織の一部を採取します。このように組織を採取して顕微鏡検査を行うことを生検(せいけん)といい、がんの確定診断をするうえで極めて重要な検査です。

胃カメラというと挿入時に嘔吐反射を伴いやすく、個人差もありますが、もうしたくない辛い検査と言われる人がいます。最近は器械が細径化して比較的楽な検査になりつつあります。それでも反射がつらい場合には鎮静剤を使用することや経鼻内視鏡検査をお勧めしています。

経鼻内視鏡は急速に普及した内視鏡検査です。経口的な内視鏡に比べて径が細い分、画像はやや劣りますが、熟練した内視鏡医が行えばがんの見落としが少ないといわれています。また毎年必ず内視鏡検査を受けるという受容性の高さにより胃がんの早期発見に貢献しています。現在胃癌診断で信頼されているものは胃内視鏡検査ですので安心して受けてください。

機種によって拡大機構や画像強調が可能になり、範囲診断や癌か否かの診断に用いられます。また、内視鏡の先端に小型の超音波装置を取り付けた超音波内視鏡検査によってがんの深さや周囲リンパ節の診断が行われ、がんの広がりを判定します。


胃レントゲン検査

バリウムを飲んで行うレントゲン検査のことです。
粘膜の細かい観察能力では内視鏡に劣りますが、胃の全体像や凹凸の変化をみることに適しています。現在では無症状な人からがんを見つけだす目的で検診や人間ドックで主に用いられています。食道や十二指腸との距離や病変の拡がりを診断する目的で胃癌を手術する前には必ずレントゲン検査を行います。内視鏡検査とX線レントゲン検査は、胃がん診断の「車の両輪」のようなものです。


腹部CT、超音波検査

がんの転移の有無を知るために行います。肝臓、リンパ節、腹水の有無、腹膜への転移を調べます。この二つは性格が異なりますので、どちらか片方だけ検査するときもありますが、正確を期するために両方行うときもあります。


腫瘍マーカー

すべてのがんで見られる現象ではありませんが、胃がんでも一部のがんでは血中に特定の物質を分泌しています。これを腫瘍マーカーと呼んでおり、がんの進行や再発の判定に役立ちます。

腫瘍マーカーが正常範囲内である進行胃癌の患者さんもしばしば見受けられますので過信も軽視もできません。

最近では胃がんの要因にピロリ菌の関与が報告され、血中抗体を測定する場合があります。萎縮性胃炎に分化型胃癌が発生することが多いことを利用してペプシノーゲンを血液で測定して胃がんの発生しやすいか否かを診断します。

最終的には胃がんの有無は内視鏡検査で判定することになりますが、自分自身のピロリ菌や胃粘膜の萎縮の有無を知ることは重要です。


肺がんの病期(ステージ)

 非小細胞肺がん
がんの病巣の広がり具合で病気の進行を、潜伏がん、0、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ期に分類します。


【潜伏がん】がん細胞が痰の中に見つかっていますが、病巣部が肺のどこなのかが分からない非常に早期の段階です。

【0期】がんは局所的に見つかっていますが、気管支をおおう細胞の一部のみにある早期の段階です。

【ⅠA期】がんが原発巣にとどまっていて、大きさは3cmを以下で、リンパ節や他の臓器に転移が認められない段階です。

【ⅠB期】がんが原発巣にとどまっていて、大きさは3cmを超え、リンパ節や他の臓器に転移が認められない段階です。

【ⅡA期】原発巣のがんの大きさは3cm以下で、原発巣と同じ側の肺門のリンパ節にがんの転移が認められますが、他の臓器には転移が認められない段階です。

【ⅡB期】原発巣のがんの大きさは3cmを超え、原発巣と同じ側の肺門のリンパ節にがんの転移が認められますが、他の臓器に転移が認められない段階です。

【ⅢA期】原発巣のがんが直接胸膜、胸壁に広がっていますが、転移は原発巣と同じ側の肺門のリンパ節まで、または、縦隔と言われる心臓や食道のある部分のリンパ節には認められますが、他の臓器には転移が認められない段階です。

【ⅢB期】原発巣のがんが直接縦隔に広がっていたり、胸膜へ転移をしていたり、胸水がたまっていたり、原発巣と反対側の縦隔、首の付け根のリンパ節に転移していますが、他の臓器には転移が認められない段階です。

【Ⅳ期】原発巣の他に、肺の他の場所、脳、肝臓、骨、副腎などの臓器に転移(遠隔転移)がある場合です。




胃がんのステージ

 治療方針を決めるためには、胃がんのステージを把握することが必要になります。ステージとは、「病期」や「進行度」ともいい、がんの進み具合を表したものです。

当然ながら、がんがあまり進行していない早期の段階のステージであれば、それだけ治る確率も高くなります。



 胃がんのステージは、がんが胃壁のどこまで進行しているか 転移がどこまですすんでいるかの2つの観点から決められます。


 がんの深さ(深達度)

 がんの深さは、T1~T4に分けられています。Tとは、tumor(腫瘍)からきています。

T1:粘膜層、粘膜下層までにとどまっているがん
T2:筋層、漿膜下層まで浸潤しているが、胃の表面には出ていないがん
T3:胃の表面まで出ているがん
T4:周囲の臓器(結腸や膵臓)に浸潤しているがん


 なお、胃がんが、肝臓や肺などの離れた臓器に転移(遠隔転移)してしまっている場合には、進行度にかかわりなく、ステージはもっとも重いⅣと判断されています。



 リンパ節転移の状況
 胃の周囲には、胃に近いほうから、第1群、第2群、第3群という具合にリンパ節が取り巻いています。リンパ節転移の状況は、N0~N3に分けられます。Nとは、lymph node(リンパ節)からきています。


 N0:リンパ節転移が認められない
 N1:胃に接しているリンパ節に転移がある
 N2:胃に流れ込む血管に沿ったリンパ節に転移がある
 N3:遠くのリンパ節に転移がある


 ステージ分類
以上の2つの観点の組み合わせによって、胃がんのステージはⅠ~Ⅳに分けられています。
��リンパ節への転移の有無によって、A、Bとも分けられています)

ⅠA期 リンパ節転移がなく、粘膜下層までにとどまっている。
ⅠB期 以下のいずれか。
・リンパ節に転移がないが、筋層または漿膜下層まで浸潤している。
・胃に接したリンパ節に転移があるが、粘膜下層までの浸潤である。
Ⅱ期 以下のいずれか。
・リンパ節転移はないが、漿膜を越えて胃の表面まで浸潤している。
・胃に接したリンパ節に転移があるが、筋層または漿膜下層までの浸潤である。
・胃に流れ込む血管に沿ったリンパ節に転移があるが、粘膜下層までの浸潤である。
ⅢA期 以下のいずれか。
・リンパ節転移はないが、胃の表面に出て、他臓器(結腸や膵臓)まで浸潤している。
・胃に接したリンパ節に転移があり、漿膜を越えて胃の表面まで浸潤している。
・胃に流れ込む血管に沿ったリンパ節に転移があるが、胃の表面に出ずに、筋層または漿膜下層までの浸潤である。
ⅢB期 以下のいずれか。
・胃に接したリンパ節に転移があり、胃の表面に出て、他臓器(結腸や膵臓)まで浸潤している。
・胃に流れ込む血管に沿ったリンパ節に転移があり、漿膜を越えて胃の表面まで浸潤している。
Ⅳ期 さらに遠くのリンパ節に転移があるか、肝臓、肺、腹膜などに遠隔転移が認められる。

早期の胃がんでは、ほとんどステージⅠAまたはⅠBになります。逆に、離れた臓器やリンパ節に転移している場合は、ステージⅣと判断されます。ステージがおおよそ判断できれば、治療方針を決定していくことになります。



胃がんは手術で治すのがメイン

 胃がんは手術で治すのがメイン

 がんというものは、放置しておくとどんどん増殖してしまう一方であり、それを防ぐためには、がん細胞を体内から取り除くことが一番の方法です。胃がんの場合、手術によりがんの病巣を取り除いてしまうのがもっとも確実になります。

進行型のがんには転移もありますが、手術により周囲の組織を含めて取り除くことが有効な手段になります。病巣のまわりには、目に見えないほどの小さながん細胞が散らばっている可能性があるためです。

手術の際には、取り除く範囲と後遺症の軽さのバランスも大切になってきます。胃を切除しても決定的なダメージは受けませんが、切除する範囲が大きくなればなるほど、それだけ手術後の負担も重くなります。

がんを残さずに取り除くには広い範囲を切除することが確実ですが、手術後の生活や後遺症のことも考えなければならないのです。

それでは、手術以外の治療はおこなわれていないのかといえば、そうではありません。手術によりがんを取り除くことが難しいと判断された場合には、抗がん剤による化学療法、放射線療法などを試すこともあります。ただ、胃がんの場合、手術以外の方法で根治させることは楽ではありません。

早期の胃がんの場合でも、見つかれば早めに手術する方針となっています。がんの進行するスピードは予測できないためです。同じ早期胃がんでも、進行が10年単位のものときわめて遅いものも確認されているようです。



胃がんの内視鏡的切除

 胃がんの内視鏡的切除
 早期発見できた胃がんのなかには、内視鏡で切除をするだけで治療が期待できることもあります。術後の副作用や障害もほとんどないため、まっさきに検討される治療法です。


 内視鏡的切除が可能な条件
がんの大きさは2cm以下
・潰瘍が発生していない
・粘膜層内に限局している
・胃がんの組織は分化型
��分化型・・・周囲の組織に構造が近いもの)

以上のような条件を満たしていれば、内視鏡的切除で根治が可能になります。ただし、早期胃がんのなかでもリンパ節転移が起こっている場合には、切除のみでは再発する危険性があります。

 病巣の組織を調べて、がんが予想以上に深かったり、広がっていた場合も内視鏡は使われません。このようなときは通常の開腹手術をして、胃を取り除くことになります。


 内視鏡的切除の手順
まずは、胃の粘膜下層に注射針をつけた内視鏡を使って生理的食塩水を注入していきます。これは病巣をふくらませるためです。

次に、病巣にスネアをかけていきます。

続いて、高周波電流を流して、粘膜と粘膜下層を焼ききります。

最後に、切除した病巣を取り出して完了です。

取り除いた病巣は組織検査にかけられます。粘膜内にしかがんがなかった場合は、経過を観察していきます。その後に開腹手術をするかどうかは、医師と相談して決めていくことになります。一方、がんが粘膜下層まで達していた場合や、リンパ管・血管内にがん細胞が見つかった場合は、手術を受けることになります。手術は本人の体力をみてから慎重に決定されます。



胃とリンパ節を切除する定型手術

 胃がんの手術で、これまでにもっとも多くおこなわれてきたものが定型手術です。がんは目に見える病変だけでなく、周囲の細胞にも潜り込んでいることがあります。がんの病巣を取り除いただけでは、がんを見落としてしまい、再発する可能性もあります。

そこで、定型手術では、まず胃を2/3以上切除していきますが、これに加えて、胃の周りのリンパ節も取り除くという方法がとられています。リンパ節には2種類あり、胃に接している第1群リンパ節と、胃に流れ込む血管に沿っている第2リンパ節があります。切除は両方おこなわれます。がんの再発を防ぐためには、このような切除が必要になるのです。


 胃の切除部位のタイプ
 胃を切除する範囲は、がんの部位、転移の有無、浸潤の深さから決定されます。


 噴門側胃切除術
胃の入り口(噴門)の近くに発生した、早期の小さな胃がんの場合におこなわれます。胃の機能はある程度は残すことができます。


 幽門側胃切除術
胃の出口(幽門)から半分程度を切除します。胃の噴門と中心部は残すことができますが、幽門は切除されます。


 胃全摘術
がんが進行した状態で、胃の全体に広がっていた場合や、膵臓の周囲のリンパ節に転移が認められる場合には、胃を全部摘出することになります。



転移の可能性が低ければ縮小手術

 縮小手術とは、定型手術よりも胃の切除範囲を狭くしたものです。施行するにはいくつかの条件がありますが、術後の負担や後遺症が軽くなります。消化機能に及ぼす影響が少なくなるので、食生活も守ることができます。

定型手術→縮小手術へ移行するには?
 縮小手術でがんの根治が期待できるのは、早期胃がんであり、病巣が2cm以下の場合に限られます。

リンパ節郭清の範囲を小さくする
リンパ節を切除するリンパ節郭清は、第2群リンパ節の一部を切除することなく残すことができます。これはリンパ節転移の可能性が低い場合におこないます。

胃の局所切除

 ごく早期の胃がんで、リンパ節に転移している可能性がほとんどないと考えられる場合には、胃のごく一部のみを切り取る「局所切除」も可能になります。また、内視鏡では切除しにくい場合もおこなわれることがあります。腹腔鏡などが使われます。

ごく一部の切除なので、胃の機能はほぼ100%保たれますが、リンパ節郭清がおこなえないという欠点もあります。このため、がんが再発する危険性も考えられます。


 幽門保存胃切除
 胃の入り口側と胃の出口である幽門を残す方法です。幽門神経(幽門の開閉をコントロールしている神経)を残すので、胃の排出機能は保たれます。施行条件は、胃の中心部に発生した早期胃がんで、幽門にリンパ節転移がみとめられない場合に限られます。

このように縮小手術は、再発のおそれのない早期胃がんに限られます。再発の危険性を排除するために、手術が適応できるかは慎重に決定されます。



進行がんには拡大手術の方法も

 胃がんは進行するにつれて、近辺のリンパ節だけでなく遠くのリンパ節へも転移していきます。胃の周囲にある臓器へも浸潤していくこともあります。そこで、胃の切除だけではがんを治療できない場合には、周辺臓器の一部や、第3群リンパ節まで取り除くことが検討されます。これを拡大手術と呼びます。

ただし、切除範囲が広くなるということは、その分身体にかかる負担も尋常ではなくなります。かえって体の状態を悪くする可能性もあるために、拡大手術はよく検討しておこなわれます。


 胃と共に切除される可能性のある部位

 脾臓(ひぞう)
 脾臓は、古くなった赤血球や白血球を処理する機能をもつ臓器です。成人の場合には、切除してもとくに体に問題はないという報告がありますが、取らないほうがよいという見方もあります。しかし、がんが浸潤している場合には切除はやむを得ません。


 膵臓(すいぞう)
 膵臓の切除は、膵尾部(すいびぶ)という箇所を切除する方法が取られてきました。ただし、最近では合併症のことを考慮してなるべく切除は避けられています。


 第3群リンパ節
第2群リンパ節に転移が確認される場合には、腹部の大動脈の近くにある第3群リンパ節を切除することがあります。ただし、リンパ節の切除は、術後の回復が困難になる可能性があることや、技術的に難しい面もあり、その効果もはっきりとは解明されていません。

他に切除される部位には、十二指腸、胆管、大腸の一部、肝臓の一部などがあります。いずれも高度の進行胃がんの場合に検討されます。



入院の前に確認すべきこと

 胃がんの手術の前には、きちんと十分な説明を受けて納得してからのぞむことが大切です。患者さんの問いかけには、医師は必ず丁寧に説明してくれるはずです。

手術には体にも多くの負担がかかり、可能性はごくわずかですが命を落とすことも考えられます。がんをそのまま放置しておく危険性よりかははるかにましですが、自分が受ける手術のことをよく知っておくのは無駄にはなりません。

手術にもメリット・デメリットがありますが、三者の間で十分な話し合いをもつことが重要です。三者とは、医師、患者、患者の家族を指します。

医師は、胃がんの状態、患者の状態などから判断して、最も適した治療方針を提案します。患者は、胃がんの診断は告知されているはずなので、積極的に知ることで治療に前向きに取り組めるようにします。家族は、患者の病状や治療方針を理解することで、精神的な支えになります。



医師に確認しておきたい事項

入院日数、入院費用
具体的な治療の内容
行う治療の目的について
他に受けることのできる治療法はないか
がんの病態についての説明
再発の危険性はどれくらいあるのか
術後の合併症、副作用とその頻度
術後の生活にはどのような影響が出てくるのか


 万が一、医師がすすめる治療法に納得ができないという場合には、まずは十分な説明を受けるようにしましょう。納得ができない理由は細かく述べて、医師に正確に伝えましょう。

どんな治療法を受けるのかを決める最終的な決定権は、医師ではなく患者側になります。



手術の合併症の予防

 今日では医療技術が発達したおかげで、胃がんの手術に伴う危険性もかなり低くなっています。 しかし、手術のあとには、まれに身体に好ましくない状態が生じることがあります。手術がもとで起きる病気を「術後合併症」と呼びます。薬でいうところの副作用に相当します。

 胃がんの手術後、約1~2週間のあいだに発症し、多くの障害が発熱を伴っています。合併症の頻度は、病院や医師の技量、経験によって異なります。また、患者さんの年齢や持病も影響してきます。



さまざまな合併症
 肺炎
 肺の中に痰が溜まりやすくなると、細菌に感染しやすくなり、肺炎を患ってしまいます。とくに高齢の患者さんにみられます。ずっと寝たままの状態はよくないので、できれば少し体を動かして予防するようにしましょう。


 膵液ろう(すいえきろう)
 膵臓の分泌液である膵液が漏れている状態で、感染症を引き起こして発熱します。胃の切除の際に、膵臓の一部を取り除いた場合などに発生します。


 縫合不全(リーク) 
 胃や腸を縫い合わせた縫い目がほころびて、切除した後の消化管をつないだところから、消化液や飲食物が漏れ出すことです。治すためには、飲食物を一時的に摂らないようにしなければなりません。ただし、重症の場合には再手術をして、消化液を体外に排出し、腹腔内の洗浄をする必要があります。


 創感染
 おなかの手術創が化膿して、腫れて痛みが出たり、熱を持ったりします。皮膚を縫い合わせている糸をはずして傷口を開くと、たまった膿を出すことができます。


 腸閉塞
 開腹して腸が外気に触れると、腸の働きが悪くなります。ガスや便がたまって、おなかの張り、吐き気・嘔吐などの症状があらわれます。通常は時間の経過とともに回復しますが、症状が長く続くような場合は、たまっている腸液やガスを抜く治療が必要になります。



 術後の回復は早期離床がポイント
 手術後の合併症は、ほとんどが早期離床をこころがけることによって予防することが可能です。痛みでつい寝てしまいがちになりますが、少し寝返りを打ってみたり、少しずつ歩いてみることが大切です。

立ち上がると、横になっているときよりも深い呼吸ができるようになり、肺に痰もたまりにくくなります。これは肺炎の防止だけでなく、腸の機能回復にも役立ちます。

禁煙を続けることは言うまでもありません。喫煙者は粘り気のある痰が出やすいために、術後の回復の早さにも大きな影響を与えています。



胃がん 薬物療法

 化学療法は抗がん剤を使用する目的によって、(1)手術で取りきれずに残ってしまった少量のがん細胞を死滅させて再発を予防する(これを術後補助化学療法と言います)、(2)がんに伴う苦痛を改善したり予後を延長させる目的で使用する、の2つに分類されます。

 (1)の術後補助化学療法は、手術で完全にとりきれなかったがん細胞を死滅させることで、手術単独では治らない患者さんを治す治療です。 一方、この治療は手術で治ってしまう患者さんにまで抗がん剤を投与することが問題です。使用する抗がん剤の効果と副作用を検討した結果、ティーエスワンの1年間の投与が有効であることが知られています。

 (2)の目的で用いられる主な抗がん剤は5-フルオロウラシル、シスプラチン、イリノテカン、タキサン系薬剤(パクリタキセルとドセタキセル)です。最初に行うべき治療は5-フルオロウラシル系薬剤であるティーエスワンとシスプラチンを組み合わせた治療法です。

 この他にも、ティーエスワンにタキサン系薬剤を組み合わせた治療法も期待されていますが、現在までに有効性の証明はされていません。この他、ティーエスワンとシスプラチンにタキサン系薬剤であるドセタキセルを組み合わせた3剤併用療法も検討されていますが、その効果や安全性の十分なデータはありません。

 最近の研究で、胃がんの約20%にHER2(ハーツウ)という細胞増殖にかかわるたんぱく質が多く発現していることが分かりました。2009年の米国臨床腫瘍学会において、HER2を多く発現している胃がんにHER2の働きを抑える分子標的治療薬(トラスツズマブ)を併用すると、予後の改善することが報告されました。この薬剤は乳がんの治療薬として使われていますが、近い将来、胃がんにおける治療薬になると期待されています。

 また、手術成績向上のため、手術可能な患者さんに対する術前化学療法の研究も進んでいます。高度リンパ節転移症例に対するティーエスワンとシスプラチンによる術前化学療法は、術前化学療法なしに比べて優れている可能性が高いことが示されています。現在、高度リンパ節転移を伴う症例に対して、術前化学療法がおこなわれるようになってきています。

胃がん 内視鏡検査

 胃がんの内視鏡検査はファイバースコープや先端にCCD(固体撮影素子)を搭載した電子スコープを用いて、直接、消化器粘膜を観察する方法です。

 内視鏡検査は病巣(びょうそう)部を直接観察できることが大きな特徴です。主病巣の位置や大きさだけでなく、病巣の拡がりや表面の形状(隆起(りゅうき)や陥凹(かんおう))、色調などから、病巣の数やある程度の深達度(しんたつど)が判断できます。

 色素内視鏡検査といい、発見困難な凹凸のない病巣は色素と呼ばれる染色液を使って探す方法もあります。

 もう1つの内視鏡検査の大きなメリットは、直接細胞を採り(生検:せいけん)、病理検査ができるため、病気の判定に役立っています。

 胃内視鏡検査は早期胃がんの発見に大きく貢献しています。内視鏡での胃集団検診により発見されるがんの中で約60%は早期がんという成績も報告されています。

 胃内視鏡検査は、のどの麻酔や消化管の運動を抑える処置をした後に、胃内視鏡を口から挿入し、胃の内部を観察します。粘膜の様子、色、形態の変化から胃がんのほか炎症や潰瘍などを見つけることができます。

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胃がん X線検査とは

 胃がんX線検査とはバリウム溶液を飲んでX線写真を撮影するもので、胃の検査には間接X線検査と直接X線検査とがあります。

 間接X線検査は、病変の発見を第一の目標とするもので、時間的、経済性、被験者の負担などから集団検診などで行っています。

 しかし、小サイズのフィルムを使用し、マニュアルどおりの体位で撮影するため、小さな胃がんや部位によっては進行性の胃がんも見逃す可能性があるので、近年、胃内視鏡検査を選択することが多くなっているようです。

 一方、直接X線検査はいわゆる精密検査で行われるX線検査で、2種類の造影剤の量を変えた二重造影法と、圧迫したり体位や方向を様々にかえて撮影する方法があります。

 良性・悪性の鑑別や病巣(びょうそう)の形態、浸潤(しんじゅん)範囲、深達度(しんたつど)の推定ができます。


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胃がん 超音波内視鏡検査とは

 胃がんの超音波内視鏡検査(EUS)は組織の構造が変化する部位で、音波が跳ね返ってくる現象(エコー)を利用して、跳ね返りの強さや部位を画像として映し出す検査です。

 体表からの超音波検査では胃や腸の中の空気や腹壁、腹腔(ふくくう)の脂肪、骨が、エコーをとらえて画像にする際に妨げになることがあります。

 また、体表からのエコー検査では検査目的とする対象臓器近辺までの画像を得るために超音波の減衰が少ない比較的低周波数の超音波により検査を行いますが、低周波数の超音波検査では分解能に限界があり、高い分解能を持った詳細な画像情報が必要となるがんの壁深達度(へきしんたつど)診断などには適しません。

 その欠点を改良したものが、超音波内視鏡検査です。超音波内視鏡は、内視鏡先端部にエコーを送受信する「超音波振動子」を兼ね備えた内視鏡です。

 超音波内視鏡検査では、超音波が胃など体腔内に溜まったガスを透過できない為、超音波振動子と観察部位との間に水を介在させて対応(脱気水充満法等)をしています。

 胃壁の表面を観察する内視鏡検査に異なり、また、粘膜下の状態をエコー像として観察する役割を果たします。5~30MHzという比較的高い周波数の分解能に優れた超音波内視鏡検査により、粘膜上皮(じょうひ)の病巣(びょうそう)だけでなく、病巣がどのくらいまで深く進展しているか、リンパ節の転移や、周りの臓器への浸潤(しんじゅん)などについての詳細な情報を得ることができます。

 その結果、内視鏡的治療が適応するかどうかの判断、進行性胃がんの場合はどこまで切除するかの境界線を決めるうえでの重要な情報を得ることができます。


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胃がん CT検査

 CT検査は身体にあらゆる角度からX線照射し、得られた情報をコンピューターで解析するものです。造影剤を使う場合と使わない場合がありますが、造影剤を用いる方法では病変がより鮮明に描き出され、検査したい臓器やその周辺をミリ単位の断層写真として観察できます。

 CT検査の結果はX線検査や内視鏡検査の結果と総合して病気を判断することに役立っています。また、がん治療(化学療法や放射線療法など)の効果の把握などにも用いられています。

 胃がんが疑われた場合の精密検査のひとつとしてCT検査を行います。

 CT検査は、胃がんそのものの発見には有益とはいえませんが、胃がんの周りの臓器への浸潤(しんじゅん)や転移している病変の発見に有用です。


胃がん PET(陽電子放射断層撮影)検査とは

 PET(陽電子放射断層撮影)検査は、がん細胞が正常細胞よりも糖分を多く必要とする性質を活かし、陽電子を放出するブドウ糖に似た薬剤を利用し、体内での薬剤の分布を画像化する診断法です。

 CT検査やMRI検査が形態を画像化するのに対し、PET検査は細胞の活動性に応じて薬剤が集まる原理を利用することで、細胞の代謝の状態を画像化する検査です。また、PET検査は1回の検査で全身において、がんの検査を行うことができることが大きな特徴です。

 しかし、全てのがんをPET検査で早期に発見できるわけでありません。薬剤の集積が少ない性質のがんもありますし、消化管粘膜に発生する極早期のがんの発見は困難です。また、薬剤は炎症部にも集まる性質をもつため炎症部とがんとの区別が難しいという問題もあります。

 PET検査で発見されやすいがんとしては、肺がん、食道がん、膵臓がん、大腸がん、乳がんがあげられ、さらに、いままでの検診では見つけることが困難であった甲状腺がん、悪性リンパ腫、卵巣がん、子宮体がんが発見できることが期待されています。

 他胃がん、腎がん、尿道がん、膀胱がん、前立腺がん、肝細胞がん、胆道がん、白血病など場所によっては有用性が低い場合があるともいわれています。

 PET検査は平成14年度に一部の疾患の診断に限って保険が適応されるようになりましたが、その他の適応外の疾患や検診は全額自己負担となるため、かなり高額な検査になります。

 また、薬剤の製造装置および撮影装置の設備費用が非常に高く、検査可能な医療機関は限られています。


胃がん ペプシノゲン検査とは

 胃がんの検査の1つに、血清(血液の一部)を用いた検査方法があります。

 大規模な人数の検査をするとき、第1段階として疑わしい症例を見つけだすのに効率的な方法です。

 胃の細胞から分泌されている酵素に「ペプシノゲンI」「ペプシノゲンII」という酵素があります。この酵素は萎縮(いしゅく)性胃炎に関係が深いことがわかっています。

 血液中のこの酵素の量を測り、IとIIの比率から萎縮性胃炎を予測することができます。

 萎縮性胃炎の粘膜からは分化型の腺癌(せんがん:腺管構造をしているがん)が発症するリスクが高いため、血液検査によりリスクの高い方々を選別し、早期発見につなげます。

 この方法による胃がん発見率は間接X線検査(集団検診で行われている)に近い成績ともいわれています。

 簡便で経済的なこと、また一度にたくさんの検体を調べられる効率性から、集団検診に間接X線検査とともに組み入れられています。


胃がんの生存率

 胃がんは初期症状であれば治癒を目指すことができるほど予後が良いのですが、末期に近づくほど予後の経過は悪化します。

 病期(ステージ)ごとに一般的な5年生存率を見ていくと、ステージ0ではほぼ100%、ステージ1で90%、ステージ2で80%、ステージ3で50%、ステージ4で10%となっています。すべての病期を通算するとおよそ70%となっていますが、末期に近づくと決して良好とは言えない数字であることに注意が必要です。もっとも、難治がんの代表格であるすい臓がんと比べると明らかに予後が良好であり、癌であっても早期発見によって助かる見込みは十分にあると言えます。

 胃壁への変化が小さいスキルス性の場合を除けば、定期的に検診を受けておくことによって初期症状の段階で発見することは可能です。末期になる前に治療を行うことによって、治癒を目指しましょう。悪化するほどに再発の危険も高くなります。

 胃がん検診を行った場合、実際に胃がんと診断されるのは1000人に1人から2人の割合とされていますが、それでも大きな危険を避けるためには受診の意味があります。日本人にとって縁の深い癌ですので、油断しないで下さい。生存率が高いうちに治療しておきましょう。

 他の病院と生存率を比較するときには、通算の数字ではなく、それぞれの病期ごとに比べておきましょう。条件を揃えなくては適正な結果が得られないからです。

 また、特定の病期のみの数字が悪い場合には、十分な症例数が確保できていないケースや、その進行度における治療を効果的に行うための専門医がいないことや、設備が整っていない可能性がありますので、原因を明らかにしておいた方が良いでしょう。



胃がんに効果的な食事療法

 病院で専門医から治療を受ける場合には、手術や抗がん剤による化学療法、放射線治療が一般的に行われています。しかし、手術には後遺症がありますし、抗がん剤や放射線治療には副作用があり、深刻な事態を招くこともあります。そうした方法のほかに、胃がん治療に食事療法を用いる方法もありますので、参考にしてください。


 予防のために 名医による効果的な治療も、予防にはかないません。なにしろ、最初から食事で胃がんを予防することができれば、闘病生活を送る必要がなくなるのです。消化器官である以上、食べたものの影響を受けることは否めません。

 そこで気をつけたいことは、食事の時間を決めて、毎日規則正しい時間に食べることや、野菜や果物を豊富に摂取すること、過剰な脂肪や香辛料、アルコールの度数が高いお酒を控えること、保存状態の悪い物やカビの生えたものは食べないことが挙げられます。

 これらの注意点を守ったとしても、絶対に胃がんにならないわけではありません。しかし、食生活の乱れが罹患リスクを高めることは間違いのないことですので、リスクを減少させることにはつながります。日々の行動を少しづつでも変えてみましょう。


 術後の場合 胃がんの手術を行うと、胃の一部、または全部を摘出することになりますので、術前と同じ感覚でいるわけにはいきません。食べるものには原則として制限がありませんが、食べ方には変化があります。

 まず、回数を増やして一度に食べる量を減らすことです。無理に多めに食べようとするより、何回かに分けてみましょう。体調がよいと以前と同じ量を口にしてしまいそうになると思いますが、調子に乗ってしまうと後で苦しくなりますので、自重してください。新しい量に慣れるまでは、意識的にコントロールしましょう。

 また、噛むことによって、消化機能の低下を補いましょう。焦らずゆっくり食べるようにしてください。また、回数が増えても、毎日の時間は一定に保ちましょう。お腹が空いた時に好きなだけ口に運ぶのではなく、規則正しい生活を送ることが大切です。アルコールや消化の悪いものは、専門医と相談しながら摂取するようにしてください。くれぐれも体に負担をかけすぎるようなことはしないでください。


 ダンピング症候群 術後の後遺症として一般的なものに、ダンピング症候群があります。ダンピング症候群には早期と後期があり、早期ダンピング症候群は食後30分以内に発生する動機やめまい、脱力感、発汗、顔色の変化、下痢などの症状を示します。早期ダンピング症候群を防ぐためには、食事の時の水分を控えることや、甘くてとろとろしたお汁粉のようなものに気をつけることが必要です。

 後期ダンピング症候群の症状としては、食後2時間から3時間ほど経過してから、冷や汗や倦怠感、めまい、指のふるえ、脱力感が現われます。血糖値の低下が原因となっていますので、食後2時間ほど経った頃に間食をすることで予防することができます。



スキルス胃がんは悪性度が高い

 他のタイプと比べると、スキルス胃がんの悪性度は特に高く、生存率も低くなりがちです。特徴として早期発見が難しいことが挙げられますが、これは医の粘膜の表面に大きな変化を起こさないことが原因になっています。胃壁の中で広がっていくため、たとえ定期検診を受けていたとしても、見落とされてしまうことが多いのです。そのため、発見された時にはおよそ60%の方が転移しています。

 転移はスキルス胃がんの治療法の選択肢を限定してしまうことがありますし、手術を行った場合でも再発の原因になってしまうことが多くなります。一般的には、早期胃がんなら治癒を目指すことができるのですが、すでに転移までしている状態では、話が変わってしまいます。診断としては、胃壁全体が硬くなってから見つかることが多くあります。

 厄介なスキルス性ですが、主に30歳代と40歳代の女性に発症しています。この年代の女性は、あまり胃がんにかかることがないため、検診を受けていないことも多くあります。たしかに、検査をすれば確実に発見できるものではなく、見逃されてしまうことも多いのですが、やはりあきらめることはできません。毎年レントゲン撮影を続け、過去の写真と比較することによって、早期発見できる可能性も残されています。

 生存率を高めるためには、手術のほかに化学療法を用いることで、残された癌細胞に対応することが一般的に考えられます。もちろん、個別に症状や転移の状態、患者さんの全身状態も考慮しなくてはなりません。現状として納得できるほどの成果が出せていないことが多いのですが、名医に診断してもらうことで、少しでも質の高い医療を望むこともできます。

 最新治療の研究では、抗がん剤を小さなカプセルに包んで投与する方法が研究されています。この研究が実用化されることによって、症状の改善は今よりも容易に望めるようになるかもしれません。



胃がんの3大転移

 胃がんには次のような3大転移と言われるものがあります。

��1)リンパ行性転移:がんがリンパ管に入りリンパ節に転移します。

��2)血行性転移:がんが血管に入り肝臓や肺などに転移します。

��3)腹膜播種性転移:がんが胃の一番外側の膜(漿膜)を破って、

 お腹の中に種を播いたように広がります。


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胃がん治療・手術の名医

氏名
病院名

笹子三津留国立がんセンター中央病院
第一領域外来部長
1976年東京大学医学部医学科卒。オランダ・ライデン大学外科教授等を経て現職。
数多くの症例をこなしており、確実な胃がん手術が出来る外科医と評判です。胃がんの手術数は日本でトップ、多岐な治療法と安定した技術で合併症にも対応しています。


佐野武国立がんセンター中央病院
外科医長
1980年東京大学医学部卒。パリ市キュリー研究所フェロー等を経て現職。
確実で安定感のある手術が出来る外科医と言われています。患者に対する面倒見がよく、温かみのある胃がんの治療が受けられると評判です。


愛甲孝鹿児島大学病院
腫瘍制御学・消化器外科学教授
1969年九州大学医学部卒。米国コーネル大学医学部留学等を経て現職。
センチネルリンパ節理論に基づく研究と臨床を行っており、これまでに約200例の早期胃がんに対して臨床応用し、きわめて良好な結果を得ています。


大谷吉秀慶応義塾大学病院
一般・消化器外科専任講師
1981年慶應義塾大学医学部卒。浦和市立病院等を経て1999年より現職。
慶応義塾大学病院では、内視鏡専門医はもちろんのこと、放射線科診断医、化学療法や放射線治療を専門とする医師がそれぞれの分野で活躍しています。


梨本篤新潟県立がんセンター新潟病院
外科部長
1975年新潟大学医学部卒。米国留学等を経て2004年より現職。
完全な臓器別診療体制を取っており、疾患ごとに必ず専門医が主治医となり、常に同じ熟練医チームが手術・治療を担当しています。


二宮基樹広島市立広島市民病院
外科主任部長
1977年岡山大学医学部卒。同第一外科等を経て、2002年より現職。
早期胃がんに対し全国に先駆けて胃がん機能温存手術を行ってきました。手術のみでは対応できない高度進行、再発胃がんに対しては、外来中心の化学療法を行っています。


濱中久尚東山会調布東山病院
消化器内科
1998年和歌山県立医科大学医学部卒。国立がんセンター中央病院等を経て現職。
内視鏡医と連携し、診断から治療までチーム医療を行っています。常勤外科医のレベルも高く、避けようが無い合併症が起こっても、早急に対応できる環境にあります。


平塚正弘市立伊丹病院
副院長
1976年川崎医科大学卒。大阪府立成人病センター外科等を経て現職。
胃がん手術のスペシャリストで、胃がんに関する手術は縮小手術から超拡大手術まで、どのような手術も平塚医師が行うことが出来ます。


山村義孝愛知県がんセンター中央病院
消化器外科部部長
1969年名古屋大学医学部卒。名古屋大学医学部第二外科等を経て現職。
進行した胃がんの転移や再発で最も多い「腹膜転移」の治療で定評があり、腹膜転移の初期診断とその後の抗がん剤治療で腹膜転移の治癒を目指しています。


胃がん治療の有名(関東地区)

 埼玉県 1病院

埼玉県立がんセンター
★診療科目
消化器外科
埼玉県北足立郡伊奈町小室818 ℡048-722-1111 
胃がんの治療成績では、全国でもトップクラスの評価を得ている。また胃がんの内視鏡手術が多い(2003年データでは日本一)ことでも有名。


 千葉県 3病院

国保旭中央病院
★診療科目
外科
千葉県旭市イ1326 ℡0479-63-8111 
胃がんの治療実績において、全国的にも高い評価を得ている病院。がん治療の総合ランキングでも上位にランクされている。


千葉県がんセンター
★診療科目
消化器器科 千葉県千葉市中央区仁戸名町666-2 ℡043-264-5431 
胃がん治療の全国優良病院として名前の挙がる病院。主要な胃がん治療施設としてネット等でも紹介されている。


亀田メディカルセンター
★診療科目
外科 千葉県鴨川市東町929 ℡04-7092-2211 
2004年11月の日経トレンディーで「居心地のいい病院ランキング」で総合第1位として取り上げられられた病院。


 東京都 7病院

癌研究会有明病院
★診療科目
消化器外科 東京都江東区有明3-10-6 ℡03-3520-0111
胃がんの治療実績で全国でもトップクラスの評価を得ている。胃がん手術の術死率0.4%未満で、高い治癒率を誇っている。


虎ノ門病院
★診療科目
消化器外科
東京都港区虎ノ門2-2-2 ℡03-3588-1111 
患者から「良い医者が沢山いる」と評判の病院。ネットや書籍の多くで、全国トップランクに評価している。


��TT東日本関東病院
★診療科目
外科 東京都品川区東五反田5-9-22 ℡03-3448-6111 
胃がんに限らず、ほとんどの診療項目で高い評価を得ている病院。胃がんでも多くのメディアで取り上げられている。


日本医科大学病院
★診療科目
第一外科
東京都文京区千駄木1-1-5 ℡03-3822-21311 
ダメージの少ない手術法と全身免疫相関重視の治療で有名。書籍で実力度全国第9位と紹介されている。


東京女子医科大学病院
★診療科目
消化器外科 東京都新宿区河田町8-1 ℡03-3353-8111 
消化器外来に関して評判の良い病院。設備・評判・診療レベルが高く、検査予約でいつも一杯。


東京都立府中病院
★診療科目
外科 東京都府中市武蔵台2-9-2 ℡042-323-5111 
2002年胃癌での入院は148例で、うち胃を切除したのはは131例(胃全摘:40例、幽門側胃切:70例、その他:21例)と多くの実績がある。


日本赤十字社
医療センター
★診療科目
消化器外科 東京都渋谷区広尾4-1-22 ℡03-3400-1311
手術合併症の頻度が極めて小さいことで評判。胃がんの年間手術数はかなり多く、腹腔鏡手術を積極的に実施している病院。


 神奈川県 3病院

横浜市立市民病院
★診療科目
外科 神奈川県横浜市保土ヶ谷区岡沢町56 ℡045-331-1961 
胃がんの手術件数(2003年データ)では、県内でもトップクラス。患者への対応や施設のきれいさで評判の良い病院。


神奈川県立
がんセンター
★診療科目
消化器外科 神奈川県横浜市旭区中尾1-1-2 ℡045-391-5761 
胃がんの治療成績では常に高い評価を得ている。地元神奈川のみならず、全国的にも有名な病院。


昭和大学
横浜市北部病院
★診療科目
消化器センター 神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎中央35-1 ℡045-949-7000 
胃がんの手術件数(2003年データ)は70件超。食道がんの名医と言われる消化器病センター・井上晴洋助教授がいることで有名。



胃がん治療の有名病院【中部・北陸・東海】

石川県 2病院

石川県立中央病院★診療科目
一般消化器外科 石川県金沢市鞍月東2-1 ℡076-237-8211 
胃がんⅡ期・Ⅲ期の手術実績において「AAAA」に評価された数少ない病院の一つ。地域の中核病院として多くの患者が診療を受けている。

金沢医科大学病院★診療科目
一般消化器外科 石川県河北郡内灘町大学1-1 ℡076-286-2211 
平成6年に北陸地方で初めて特定機能の指定を受けた地域の基幹病院。


福井県 1病院

福井県済生会病院★診療科目
呼吸器外科

福井県福井市和田中町舟橋7-1 ℡0776-23-1111 
診断からチーム医療で対応しており、胃がんの治療成績で全国でベスト10に入るほどの高い評価を受けている。


岐阜県 2病院

大垣市民病院★診療科目
外科
岐阜県大垣市南頬町4-86 ℡0584-81-33411 
胃がんの手術の症例数や手術後5年間の生存率、入院日数についての調査で、全国的にも高く評価されている病院。

岐阜市民病院★診療科目
外科
岐阜県岐阜市鹿島町7-1 ℡058-251-1101 
胃がんの手術を全国的に見てもかなり多く実施している。早期がんに対しては患者のQOL向上をめざした自律神経温存術式や腹腔鏡下手術を取り入れている。


静岡県 4病院

静岡県立
静岡がんセンター
★診療科目
胃外科 静岡県駿東郡長泉町下長窪1007 ℡055-989-5222 
2002年にがん専門病院として開院した新しい病院だが、正確な診断・的確な治療とケアで、胃がん実力病院診断で全国でも最上位にランクされている。


聖隷三方原病院★診療科目
外科 静岡県浜松市三方原町3453 ℡053-436-1251 
早期治療から末期ケアまで継続的な医療を展開し、胃がんの実力病院として静岡県内はもとより、全国的にも高い評価を得ている。


静岡県立総合病院★診療科目
消化器センター外科 静岡県静岡市葵区北安東4-27-1 ℡054-247-6111 
胃がんの治療成績で全国的にも上位にランクされている病院。名古屋大学との提携による根治的治療法が評価されている。


愛知県 2病院

名古屋第一赤十字病院★診療科目
呼吸器外科 愛知県名古屋市中村区道下町3-35 ℡052-481-5111 
胃がんを含む一般外科の年間の手術件数は約1400例で、県下でも1~2位を争う症例数。医師全員がPHSによる24時間オンコール体制をとって、緊急時に即応している。

藤田保健衛生大学病院★診療科目
上部消化管外科 愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1-98 ℡0562-93-2111 
胃がんの腹腔鏡下手術の名医として有名な宇山一朗助教授がいる病院で、腹腔鏡下手術では国内トップクラスの手術数を行っており、開腹手術と全く変わらないレベルのリンパ節郭清を行っている。

愛知県がんセンター
中央病院
★診療科目
胸部外科 愛知県名古屋市千種区鹿子殿1-1 ℡052-762-6111 
胃がんの治療成績が良いことで全国的にも有名。胃がん患者に投与する抗がん剤量を1/200に減らせる新技術を開発し、2005年9/14日本癌学会で発表を行った。




胃がん治療の有名病院(関西地区)

 胃がん治療の有名病院(関西地区)
吉村平  三重県立志摩病院 三重県志摩市阿児町鵜方1257℡0599-43-0501


河野幸裕  滋賀県立成人病センター 滋賀県守山市守山5-4-30℡077-582-5031


高橋滋  近江八幡市立総合医療センター 滋賀県近江八幡市土田町1379℡0748-33-3151

宮代勲・竜田正晴・飯石浩康・矢野雅彦  大阪府立成人病センター 大阪府大阪市東成区中道1-3-3
℡06-6972-1181 


辻仲利政  国立病院機構大阪医療センター 大阪府大阪市中央区法円坂2-1-14
℡06-6942-1331


山下好人  大阪市立総合医療センター 大阪府大阪市都島区都島本通2-13-22 ℡06-6929-1221 


谷川允彦  大阪医科大学付属病院 大阪府高槻市大学町2-7 ℡072-683-1221


瀧口修治  大阪大学医学部付属病院 大阪府吹田市山田丘2-15 ℡06-6879-5111


永井祐吾  泉大津市立病院 大阪府泉大津市下条町16-1 ℡0725-32-5622 


古河洋
今村博司
  市立堺病院 大阪府堺市南安井町1-1-1 ℡072-221-1700


平塚正弘  市立伊丹病院 兵庫県伊丹市昆陽池1-100 ℡072-777-3773


松本智  天理よろづ相談所病院 奈良県天理市三島町200 ℡0743-63-5611


胃がん治療の有名病院(中国、四国)

 岡山県

倉敷中央病院 外科 岡山県倉敷市美和1-1-1 ℡086-422-0210 
胃がんの手術は、岡山県内トップクラスの175例(2004年)。内訳は胃全摘出67例、胃の一部切除108例あり、実力度の評価は高い。


岡山済生会総合病院 外科  岡山県岡山市伊福町1-17-18 ℡086-252-2211 
手術症例数、治癒率など治療実績は岡山県内トップクラス。多くの書籍やネット情報における胃がんの実力度ランキングで上位にランクされている。



広島県
国立病院機構呉医療センター中国がんセンター 外科  広島県呉市青山町3-1 ℡0823-22-3111 

中国地方の胃がん治療の実力病院として評価が高い。正確な診断と最先端の治療を行うことを目指す。


広島市民病院 外科  広島県広島市中区基町7-33 ℡06-6929-1221 
腹腔鏡手術の件数において全国的にも上位にランクされている。実力度も高い評価を受けている。


広島市立安佐市民病院 外科  広島県広島市安佐北区可部南2-1-1 ℡082-815-5211 
病気の進行の程度に基づき、腹腔鏡を用いた局所切除、幽門輪および自律神経を温存した幽門保存手術、標準的胃切除術さらには左開胸開腹下の下部食道胃全摘術や膵頭十二指腸切除術等の術式を行っている。


 徳島県

徳島赤十字病院消化器外科  徳島県小松島市中田町新開28-1 ℡08853-2-2555
ある書籍の「全国病院実力度ランキング」の胃がん部門で堂々の全国第1位にランクされた病院。ケア・リハビリ体制も充実している。



香川県

香川県立中央病院 外科  香川県高松市番町5-4-16 ℡087-835-2222 

2005年に「地域がん診療拠点病院」に指定された病院。早期胃がんでは腹腔鏡下手術や機能温存手術、高度進行癌では拡大手術や術前化学療法と組み合わせた手術なども取り入れている。


香川労災病院 外科  香川県丸亀市城東町3-3-1 ℡0877-23-3111  
胃がんの手術は年に100例以上。西讃地区の基幹病院の外科としてだけでなく、香川県の指導的な病院と認められている。



 愛媛県

国立病院機構四国がんセンター 上部消化管外科  愛媛県松山市堀之内13 ℡089-932-1111 
内視鏡を用いての手術から広い範囲を切り取る手術まで、すすみ具合によって手術方法を選び、日々がんを治す努力を続けている。



胃がん治療の有名病院(九州地区)

 福岡県

国立病院機構九州がんセンター 消化器外科  福岡県福岡市南区野多目3-1-1 ℡092-541-3231 
胃癌や大腸癌の外科治療では、すぐれた治療成績をあげており、九州地区では大変評価の高い病院。


国立病院機構九州医療センター 外科  福岡県福岡市中央区地行浜1-8-1 ℡092-852-0700 
胃がんのみならず、がん治療の実力病院として高い評価を得ており、書籍等でも常に取り上げられている。


小倉記念病院 外科  福岡県北九州市小倉北区貴船町1-1 ℡093-921-2231 
心臓血管外科で大変有名な病院だが、胃がん治療においてもその実力は高く評価されている。


麻生飯塚病院 外科  福岡県飯塚市芳雄町3-83 ℡0948-22-3800 
九州で初めて、自宅や職場で胃がん等の検診ができる「検診宅配便」のサービスを始めた病院。


済生会福岡総合病院 外科  福岡県福岡市中央区天神1-3-46 ℡092-771-8151 
各専門医の指導のもとにチーム医療を実践。胃がん等の消化器癌に対する集学的治療、特に化学療法を充実させ、外来化学療法を行っている。



佐賀県

佐賀県立病院好生館 外科  佐賀県佐賀市水ヶ江1-12-9 ℡0952-24-2171 
「地域がん診療拠点病院」に指定されており、胃がんの手術件数では佐賀県でトップ。地域医療を確保し、地域の人々が質の高いがん診療を受けることができる体制確保を目指す。



長崎県

佐世保市立総合病院 外科  長崎県佐世保市平瀬町9-3 ℡0956-24-1515 
胃がんの手術件数では長崎大学病院に続いて県内第2位。胃がん治療のガイドラインに準じた治療を実施。


長崎市立市民病院 外科  長崎県長崎市新地町6-39 ℡095-822-3251
長崎で胃がん治療のお勧め病院として名前が上位に挙がる病院。早期胃癌では内視鏡切除や腹腔鏡下切除を実施。



胃がんの活性リンパ球治療

 がん細胞を直接攻撃する免疫細胞は、活性化リンパ球です。
この活性化リンパ球は、進行がんから末期がんへのがんとの闘いが長期化することにより不足していきます。 赤血球なら家族や他人から輸血することはできますが、活性化リンパ球は、GVHDという拒絶反応を起こすため、自分のリンパ球しか使えません。
そこで、自分のリンパ球を取り出し、試験管の中で、1000倍に増やしてから、そのリンパ球を投与する方法が活性化リンパ球治療です。


 体内のリンパ球が不足すると、がんに対する攻撃と防御の療法が低いため、がんの進行が急速になります。
また、細菌やウイルスに対する抵抗力も低くなり、肺炎や腸炎になりやすくなります。
検査でリンパ球の不足を調べ、無駄なく活性化リンパ球治療をしましょう!
リンパ球数・活性が低下する時とは…

・ がん患者さん

・ 肝転移、肺転移、腹膜播種、局所再発

・ 肺がん・胃がん

・大腸がんなどのがんでステージ3期、4期、再発時

・ 骨盤に放射線治療を行う前立腺、子宮頸がん、直腸がん

・ 抗がん剤治療・放射線治療

・ 身体的ストレス(手術・過労)や精神的ストレス(痛み・がん)



 血液検査の時と同じ様に、腕の静脈から血液を8mlか16mlを採取。
遠心分離で白血球の層を採取し、細胞培養液と一緒に、培養用バッグに入れます。


リンパ球にとって最高の環境にしてある培養液の中で、最適な温度と酸バランスのインキュベーター(培養装置)で37.0℃に保ちます。
1000倍に増やすには、11日から14日かかり、個人差があります。
増えていくと培養液を増やしていき、1000mlから2000ml以上まで増やしていきます。


血液検査の時と同じ様に、腕の静脈から血液を8mlか16mlを採取。
遠心分離で白血球の層を採取し、細胞培養液と一緒に、培養用バッグに入れます。
リンパ球などの免疫細胞の不足を調べる血液検査血液検査の白血球数(WBC)で免疫細胞の総数がわかります。 それに、血液像で、好中球数やリンパ球数など%や数でわかります。
リンパ数は、通常、1000-1500 個/μL必要です。 がんがある場合、1500個/μL以上必要です。 1000個/μL以下になると疲労感やだるさがでて、肺炎や腸炎などになりやすくなります。 500個/μL以下になるとがんに対する免疫不全状態で、がんの進行が急速になり、生命を維持する日和見感染などの危険も高くなります。
活性化リンパ球治療では、1500個/μL以上を維持することを目標のひとつとします。



グラニュライシン(リンパ球活性量)は、活性化リンパ球が分泌するケモカインの一種で、がん細胞や細菌の膜に穴を空け、細胞をこわします。
このグラニュライシンは、健康な中高年で、4.0ng/ml以上持っているため、健康維持には欠かせないものです。 このグラニュライシンは、がん患者さんでは、平均値 2.7ng/ml、胃がんの再発では、2.2ng/mlとがんの進行で低下していきます。 この数値が3.0ng/mlを切るとだるさや疲労感を訴えることが多く、4.0ng/ml以上で元気になりましたといわれることが多く、免疫治療の評価として有用です


胃がんの原因は本当にピロリ菌?

 私たちの胃や腸には多くの細菌が生息しており、多くは病原性がなく、消化を助けるなどの有用な働きを持っています。ところが、胃の粘膜に生息するピロリ菌は、胃炎をはじめ、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどの様々な病気を引き起こすと問題視されています。

 現在、世界で約半数がピロリ菌の感染者だと考えられ、日本では約6千万人が感染しているとされています。とくに50歳以上に感染者が多く、60~70パーセントが感染者であるとする調査結果もあります。

 日本では毎年20万人から25万人が新たに胃がんと診断されています。6千万人がピロリ菌に感染しているのに、25万人しか胃がんにならないのであれば、ピロリ菌と胃がんの関係を疑問視する声が上がるのもしかたがないのかもしれません。


 「ピロリ菌に感染しているからといって、高い確率で胃がんになるわけではありませんが、疫学研究により、胃がん患者の胃粘膜に高頻度にピロリ菌が確認されています。発がんメカニズムはまだ明らかになっていませんが、ピロリ菌が産生するタンパク質(CagAというタンパク質)を胃の粘膜細胞に注入しがんを誘発するのではないかとの仮説が提唱されています」

 ピロリ菌が産生する毒素(VacAタンパク質)には胃粘膜の免疫を弱める働きがあるとの指摘もあり、間接的に胃がんの発症を促進するとも考えられているのです。


 1994年、ピロリ菌感染は胃がんの確実発がん因子であると世界保健機関(WHO)によって認定されました。最高の危険性を示す「グループ1」に分類されました。強力な発がん性で知られるタバコやアスベストと同じ分類です。神谷さんはこう続けます。

 「ピロリ菌による感染が進むと萎縮性胃炎になります。病理学の見地からは、萎縮性胃炎は、前がん病変と考えられています。また、粘膜上皮細胞ががん化する胃がんに加え、胃のリンパ節にがんができる胃MALTリンパ腫もピロリ菌の関連が疑われています。胃潰瘍、十二指腸潰瘍を引き起こすという問題もありますから、ピロリ菌に感染しているなら、除菌することをお勧めします」


化学放射線治療は胃がんにも有効

 胃がん治療というと、誰もが思い浮かべるのが手術による外科治療だろう。じっさい胃がんに対しては抗がん剤も効きにくく、放射線治療にいたっては、ただ危険なだけと治療そのものが否定的に捉えられている。

 しかしこの数年で、そうした固定的ながん治療の捉え方に風穴をあけるような動きが見られ始めている。ごく少数の病院で、限られた症状の患者に対してだが、胃がん治療にも他の臓器のがんと同じように、放射線と抗がん剤を併用する化学放射線治療を導入され始めているのだ。

 そのひとつ、慶応大学病院では4年前から、病態がステージ4以上(一部ステージ3Bを含む)で手術不能と判断される胃がん患者を対象に同じ治療が行われている。腹腔鏡手術でも有名な同外科教授の北島政樹さん指導のもとでの新しい治療だ。

 現在にいたるまでの間に慶応大学病院で化学放射線治療を受けた胃がん患者は約40名に上っている。治療成績は従来の抗がん剤の単独治療によるそれをはるかに上回っており、現時点でのがんの完全消失率は10パーセントにも達している。同じく現時点での平均生存期間は18カ月。なかにはすでに4年以上、命を生き延びている患者もいるという。

 もっとも欧米では胃がんに対する化学放射線治療の可能性は、ずっと以前から注目されていた。たとえば01年5月に米国医学誌に発表されたマクドナルド医師らの臨床研究では、ステージ1B~ステージ4の胃がん患者556人を対象に根治手術後に化学放射線治療を施したグループ(281人)と、根治手術を単独で行った人たち(275人)の生存期間中央値、5年生存率を比較しているが、それぞれ35カ月と27カ月、50パーセントと41パーセントと明確な差異が生じていることが明らかになっている。慶応大学病院での取り組みはこうした胃がんに対する化学放射線治療の効果を裏づけるものといえるだろう。

進行・再発胃がんの最新抗がん剤治療

拡大手術は生存を延長しない

 進行・再発胃がんに対する治療法が掲載されている『胃癌治療ガイドライン 第2版』 胃がんの最大の特徴は発見が早ければ内視鏡やメスを使った手術で比較的簡単に治る反面、転移性進行がん、再発がんの段階に入ると、とたんに「治らないがん」になってしまうことだ。治癒が望める治療法はあまりなく、治療は状況や症状に応じて行われる。

 日本胃癌学会がまとめた『胃癌治療ガイドライン 第2版』(2004年4月改訂)には進行・再発胃がんの治療法として、次の5つが紹介されている。

・拡大手術
・緩和手術(姑息手術)
・放射線治療
・化学療法
・緩和医療

 拡大手術というのは、切除するリンパ節の範囲を拡大したり、大腸、膵臓など、がんが転移した周辺臓器まで併せて切除する手術のことを言う。拡大手術が適応となるのは、あるレベル以上のリンパ節転移(N2)がある場合や、原発巣、転移巣が胃の周辺臓器に直接拡がり、一緒に切除しないと治癒が望めない場合だ。

 手術の最大のメリットは治癒を望めることにありますが、治癒を目指すには、がん細胞を最後の1つまで取らないと意味がない。そのため、拡大手術も検討されるわけですが、胃がんの場合、転移性進行がん、再発がんのレベルに入ると、それでは対応しきれない。理由は、遠隔転移がある胃がんの場合、検査画像あるいは術中の肉眼的に確認できる転移巣以外にも顕微鏡的レベルですでに拡がっていることが多く、同時多発的に何箇所にも出る傾向が強いからです。そのため拡大手術をしてもすぐ再発することが多く、生存期間を延ばすことにつながらないケースが多いのです

 実際に、リンパ節を拡大郭清する手術と、通常に郭清する手術との生存日数を比較した臨床試験でも、生存日数に統計学的な差はないとの結果が出ている。

 拡大手術は体に与えるダメージも大きく、長時間に及ぶ手術による出血量の増大、術後合併症などのリスクも増えるので、今後は選択されるケースが減少するものと思われる。

 一方で、がんの根治手術が望めないケースでは、緩和手術という選択もある。とくに進行胃がんでは狭窄、出血、低栄養などの切迫した症状を伴うことが多いため、食事摂取期間や在宅期間の延長などのQOL(生活の質)を高める目的で緩和手術が行われることがある。


 放射線治療が普及しなかった理由

 わが国では進行・再発胃がんの治療に積極的に放射線を使う機会は少なく、骨転移がある場合やがんの浸潤による疼痛がひどい場合に緩和的治療として行う程度だ。しかし、海外では手術と放射線治療を組み合わせた治療が標準治療になっている。その辺の事情を佐藤さんはこう話す。

 「海外で放射線治療が広く行われている背景には、海外の外科手術のレベルが日本ほど高くないという事情があります。日本は、胃がんの手術では世界のトップレベルにあり、海外なら放射線を併用するケースでも、手術のみで十分な成績が得られていた。日本で放射線治療が普及しなかった背景にはそんな事情があるのです」

 このように進行・再発胃がんに関してはどの治療法も一長一短があり、これまで生存期間の延長につながる有効な治療法がなかった。化学療法に関してもこれまで様々な取り組みがされてきたが、つい最近まで標準治療となるような有効な治療法がなかった。


 抗がん剤治療をしたほうが生存によい

 これまでわが国では切除不能の進行・再発胃がんの患者に対しては、60年代からずっと5-FU(一般名フルオロウラシル)を中心とした抗がん剤治療が行われてきた。

 しかし、はっきりとした効果が認められないケースが多かったため、80年代には、そもそも抗がん剤治療をする必要があるのかという声が上がり、抗がん剤治療をしたグループと、対症療法のグループの生存期間を比較する研究が行われた。

 その結果、やはり抗がん剤治療をしたほうが明らかに生存期間が伸びるという結果がでた。その後も様々な抗がん剤を組み合わせて生存期間の延長を目指す取り組みがなされてきたが、がんを縮小する面では一定の効果を上げたものの、患者さんの生存期間(中央値)を1年以上延ばすような顕著な延命効果を上げられるものはなく、標準と言えるような治療法は存在しなかった。

「抗がん剤の併用療法に関しては5-FUやその経口剤として開発されたUFT(一般名テガフール・ウラシル配合剤)などのフッ化ピリミジン系の抗がん剤やシスプラチン(商品名ブリプラチンなど)、アントラサイクリン系薬剤などを組み合わせる形で様々な研究がなされ、がんの縮小効果が50パーセント前後に達するものもありましたが、最終目標である生存期間の延長にはなかなか結びつかないのが実情でした」(佐藤さん)

『胃癌治療ガイドライン 第2版』では、切除不能進行胃がんに関しては標準治療と見なすことができるものはないと書かれているのもそのためだ。



ピロリ菌検査とは?

 ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の強い酸の中でも生きることができる菌です。
螺旋状の形をしていて、胃の粘膜に住みついています。胃の中に入ってきた細菌は通常、胃酸によって殺菌されますが、ピロリ菌は持っている酵素によって、胃の中にある尿素をアンモニアに変え、アルカリ性のアンモニアで胃酸を中和して、胃酸の殺菌作用を逃れています。


 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の90%異常でピロリ菌が陽性を占めているといわれ、胃がんにも大きく関係していると考えられています。ただしピロリ菌が陽性でも潰瘍にならない人、陰性でも潰瘍になる人がいて、ピロリ菌だけが胃・十二指腸潰瘍の原因とはいえません。ストレス、暴飲暴食、喫煙、体質などのほかの因子も深く関係していると考えられています。

 
 ピロリ菌検査で何がわかるのか?
 胃・十二指腸潰瘍を繰り返して再発する人に、その原因としてピロリ菌が関与しているかどうかを調べます。陽性と出ればピロリ菌の関与が濃厚になります。また、最近の研究では胃がんの発生との関連も注目されており、陽性の場合はさらに検査をすることが望ましいでしょう。


 ピロリ菌検査はどのように行うのか?
 検査方法には、ピロリ菌が尿素をアンモニアに変えるときに二酸化炭素が発生する性質を利用して、尿素の入ったカプセルを服用する前と、服用後10~20分に、吐く息を採取してそこに含まれる二酸化炭素の量を調べる「呼気検査」、血液を採取して、そこにピロリ菌に対抗する抗体が含まれているかどうかを調べる「血液検査」、内視鏡で潰瘍を調べるとともに、胃粘膜も採取してピロリ菌を培養して調べる「内視鏡検査」の3つがあります。なかでも、呼気検査は簡単なうえに、信頼性も高いため広く行われています。


 異常があったらどうするか?
 除菌治療を行ないます。胃酸分泌抑制薬のプロトンポンプ・インヒビター(PPI)とアモキシシリン、クラリスロマイシンの抗生物質をあわせて1週間服用します。この3剤併用で、90%以上が除菌できるとされています。

 除菌治療では逆流性食道炎など色々な副作用が見られますが、自分で判断して薬を中止すると直りにくくなります。また、併せてペプシノーゲン検査を行なうと、慢性胃炎や萎縮性胃炎の進行が判別できます。



スキルス胃がんとは

スキルス胃がんの特徴は生存率が低く、発見された段階で残されている余命が長くないことが多いことです。悪性度が高いため、治療が難しい状態になっているのです。

スキルスとは、硬がんの意味です。進行すると胃が縮み、その名の通り硬くなります。胃壁の中で癌細胞が横に広がっていくのですが、一般的な胃がんのように粘膜の表面に潰瘍や隆起を形成することが少なく、検査を行っても見つけづらい傾向にあります。

そのため、初期症状の段階で見つけることは難しく、進行して転移がある状態で見つかることが多いのです。

日本胃癌学会という専門医等によって構成されている学会がまとめた取り扱い規約に基づくと、肉眼型分類が4型に分類される進行胃がんがスキルス性と呼ばれています。

スキルス性が胃がんの全体に占める割合は1割ほどです。そのため、かなり限られた割合となるのですが、胃がんの患者数が癌の中でも多いために、決して珍しい病気ではありません。

胃がんは中高年の男性に多く見られる疾患ですが、スキルス性の場合には30代から40代の女性に多く見られます。

女性ホルモンが関わっているという説もありますが、関係は明確になっていません。比較的若い世代ですので病気になるという危機感も強くないことが多く、発見が遅れる原因の一つになっています。



スキルス胃がんは画像診断で見つけづらい

定期的に検診を受けてバリウムを飲み、レントゲン写真を撮影している方もいます。

��線検査という名前で呼ばれることもあります。死亡率を下げる効果が確認されている有効な検診の手段なのですが、残念ながらスキルス胃がんは胃壁の表面に異常がすくないため、画像を見ても分かりづらいことが特徴となっています。

つまり、症状がよほど進行してしまわない限り、画像診断では発見するのが難しいのです。これによって早期発見が困難になり、悪化してしまうことにつながっています。

レントゲンの画像よりも詳細な情報が得られる内視鏡検査であっても、残念ながら見落とされてしまうことが多く、早期発見に有効とは言えません。

結局、自覚症状がないうちには発見が困難なのですが、進行するまでは明確な兆候が現れることもなく、転移が進んで治療が難しくなるまで見つからないことが多いのです。



スキルス胃がんの自覚症状

腹痛や腹部が重苦しくなる感覚、吐血や下血、長引く吐き気、食欲不振、腹膜播種という転移による腹水の貯留や腸閉塞といったものがあります。

もっとも、自覚症状というよりも、進行してから自覚できるようになることが多いため、残念ながらこれらの兆候が現れたら、早期ではない可能性が高いと言えます。

スキルス胃がんに特有の症状ではないため、まったく異なる病気が原因である可能性もあります。

多いのが胃潰瘍や胃炎ですが、その他にも様々な疾患が同様の症状を引き起こすことがあるため、気になる時には早めに病院に行って診断を受けておきましょう。



スキルス胃がんの生存率

 命に関わる病気ですから、生存率という概念が重要な意味を持ってきます。これが高ければ、一定期間が経過しても生きていられることが多くなりますし、低くなれば残念ながら死亡する確率が高いことになります。

 胃がん全体の5年生存率の目安として、ステージ3期であれば40%、4期であれば10%を切ることになります。ステージは病期とも呼ばれており、症状の進行度を表しており、4期がもっとも進行した状態になります。

 したがって、どの程度悪化した状態であるかによって、生存率も変わってくるのです。

 スキルス性の場合にも症状の進行度によって生存率は変わりますが、決して楽観できる数字ではないことは、上記の目安からもうかがい知ることができます。



スキルス胃がんの余命

 末期になってしまうことが多いため、余命について考えなくてはならなくなるケースが多い病気であると言えます。

 患者さん本人に告知することによって生きる気力を失わせてしまうこともあるため、あえて宣告は避けることもありますが、昔と比べると事実を伝えることが増えているようです。

 余命が限られた状態であれば、残された時間で後悔や心残りのないように人生を終える準備をしておきたいと願う方も多いため、告知は悪いことではありません。

 ただし、心理的な負担は大きいため、慎重に行うべきものであることは言うまでもありません。

 気持ちを落ち着かせて前向きに生きることができれば、スキルス胃がんが末期症状になり、余命が長くはない状態であっても、価値のある時間を過ごすことができます。

 そのためにも家族や、病院の医師や看護士の支えが求められます。

 考え方によって、余命が分かっていることは唐突な事故死のようなものよりも期間に猶予を与えられたことになりますので、やり残したことがない状態を整えるためのチャンスであり、準備期間にもなります。

 その反面、死を意識せざるをえない残酷な時間でもあります。受け止め方は人によってまちまちですが、やはり心理的なプレッシャーは計り知れないものですので、できるだけ周囲の協力が必要です。

 主治医から余命を告げられたとしても、それは平均的な目安に過ぎません。

 実際には、教えられた時期が過ぎても長く生き続ける方もいますので、絶対視することはありません。

 あくまでもおよその見当と考えておきましょう。



スキルス胃がん治療方法

 特殊な治療法が取られているわけではなく、手術や化学療法、放射線といった胃がんに用いられている方法がスキルス性の場合にも用いられています。

 ただし、症状が進行していたり、末期になっていたりすることが多いために、なかなか良好な結果は出ていません。

 手術は病巣を取り除くために有効な治療法となるのですが、広範なリンパ節転移や多臓器への遠隔転移、腹膜播種という腹腔内に癌細胞が広がっていることが多いため、根治手術が適用されるケースは限られており、半数にも満たないとされています。予後も良好とは言えず、術後に再発することも多くあります。

 転移している場合にも使える治療法として、抗がん剤による化学療法があります。ただし、以前は有効な薬剤が存在しませんでした。

 しかし、現在ではTS-1という薬が使用できるようになり、効果が有望視されています。

 このことは、化学療法を単独で用いる場合に希望をもたらしただけではなく、手術の補助療法として術前に用いることで腫瘍を縮小させて切除を適用できる範囲にしたり、術後にTS-1を使用することで再発を予防することにもつながっています。

 完治させることは容易ではなく、克服できたように見えても、時間が経過すると再発してしまうことが多いのも事実です。



胃透視(バリウム検査)

 受診の際の留意事項
検査前日まで
◆ 検診日の2日位前からは、アルコール類を控えて下さい。
◆ 検診前日の夕食は、消化の悪い物は避けて下さい。また、午後10時までに食事を済ませ、それ以降は飲食をしないで下さい。当日、撮影の際、胃に食物が残っていると検診を中止することになりますので注意して下さい。


検査当日
◆ 検診当日は絶食でお願いします。たばこ・ガムも厳禁です。胃の壁を刺激して、胃液がたくさんでてしまい、胃の壁にバリウムがつきにくくなり、精密検査が必要という結果になることもありますので検査が終了するまでは、食べたり飲んだり吸ったりしないで下さい。
◆ 胸の周り・おなかの周りにボタン・カギホック・ファスナー等が付いていれば検診衣(ガウン)にあらかじめ着替えて準備をお願いします。


検査の手順
① 問診を行います。
② 発泡剤(顆粒)を口の奥の方に入れ少量の水と一緒に飲み込みます。おなかが張りゲップがでそうになりますが、唾を飲み込む要領で検査が終わるまでゲップを出さないで下さい。
③ バリウムをひとくち口に含み、指示により空気と一緒に飲みます。(食道二重造影像を撮影する場合のみ)
④ バリウムを全て飲みます。こぼさない様に飲んで下さい。こぼして服に付くと検診衣(ガウン)を着替えていただきます。
⑤ 撮影を行います。台が倒れ、体を仰向けやうつぶせ、左右に回転させるなどの指示が出され様々な角度から撮影を行います。胃の動きを止めるため「息を止めてください。」という指示があります。胃が動いているとボケた写真になってしまいますので、しっかりと息を止め、おなかを動かさないようにお願いします。


◇人間ドック 撮影時間 …… 約 7 分
◇住民検診 撮影時間 …… 約 3 分


バリウム(造影剤)・発泡剤(炭酸)はなぜ必要か?
◆ 胃は、透明なしぼんだ風船のような物ですから胃の内壁にバリウムを塗り付ける必要があります。また、発泡剤は、胃を膨らます薬です。胃を膨らますことによって1mm単位の病変を発見することが可能になります。膨らんでない胃袋では胃の中を観察することができません。バリウムはX線を多く吸収し、発泡剤はX線の吸収が少なく、胃内壁の濃淡画像を作り撮影する方法のため必要です。


検診終了後の注意◆ 検診終了後多めに水(コップ2杯位)を飲み、30分ぐらい時間をおいてから緩下剤を服用して下さい。
◆ 検診終了後24時間経過しても、バリウム便(白い便)が全く出なく腹痛を伴うようであればすみやかに医療機関にご相談下さい。また、検診の次の日から2日を過ぎても排便をみない場合は、腹痛を伴わなくても医療機関を受診して下さい。

◆ バリウムは体内に吸収されることなく、胃から小腸、大腸へ進み最終的に肛門から身体の外に排泄されます。そのため、水分をたくさんとって早く白い便を出すようにして下さい。そうしないと、腸の中で固まって、出にくくなり最悪の場合、セメントのように固まる場合もありますので注意して下さい。


上部消化管X線造影検査とは?

 一般にいうバリウム検査のことで、X線を透過しない硫酸バリウムの乳化剤を飲んで、食道から胃・十二指腸までの上部消化管を造影し、テレビモニターで観察するとともに、X線撮影して、それらの臓器の病変を診断します。また、手術後の経過観察にも使われます。


      GIS.jpg    


 上部消化管X線造影検査で何がわかるのか?
 食道、胃、十二指腸の病気の発見と診断のために行なわれます。特に食道がん、胃がん、胃・十二指腸潰瘍の診断に欠かせない検査です。通常のX線検査と違うのは、バリウムを飲んで、さらに発泡剤で胃を膨らませて撮影するという点です。胃を膨らませて、その内面にバリウムを塗りつけた状態になるので、胃壁などに生じた病変を早い段階から発見することができます(二重造影法)。


 上部消化管X線造影検査はどのように行なうのか? 当日の朝食を抜き、一切の飲食をしない状態で検査に臨みます。検査前には、胃の蠕動運動を抑えて鮮明な画像を得るため、上腕部に鎮痙剤の筋肉注射をします。バリウムと発泡剤を飲むと、胃の中では発泡剤から発生した炭酸ガスで胃が膨らみ、バリウムが内壁のほうへ押しやられて付着します。二重造影法で消化管の内壁をはっきりと写し出すためには、内壁に薄くまんべんなくバリウムを付着させる必要があります。そのため、機械で透視台を動かしたり、患者さん自身に体の向きを変えてもらったりして、バリウムを胃の中で動かし、内壁全体に行き渡るようにしているのです。

 検査にかかる時間はおよそ10~15分です。バリウムが少し飲みにくい(フルーツ味などがありますがやはり不味い)のと、ゲップを出したくなるくらいで、検査中の苦痛はありません。


 検査結果の判定 消化管X線造影写真は、粘膜に付着したバリウムが白く映り、空気(発泡剤で発生したガスなど)は黒く映り、消化管粘膜の微細部までわかるコントラストのはっきりした二重造影となります。
異常の有無は、消化管の形状に狭窄や周囲の臓器のよる圧迫、偏位、変形がないか、がんや潰瘍、炎症はないかなど、X線撮影された消化管像の形状で診断します。

 胃潰瘍の場合は胃粘膜がえぐれるため、側面像ではニッシェ(欠損部へのバリウムの溜まり)が見えたり、二重造影ではバリウムのたまりや、雛壁の集中像がみられます。胃がんの場合は、不整なニッシェや大きな隆起像がみられます。胃ポリープはいぼ状の突起物のため、小さな円形の抜けた像としてみられます。十二指腸潰瘍は十二指腸球部の変形やニッシェがみられます。


 異常があったらどうするか? 
 異常が見つかった場合は、再度、X線検査を受けたり、上部消化管内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)などでさらに詳しく検査します。がんが疑われる場合は、内視鏡検査で組織を採取する生検を行なったり、腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)検査などを行ないます。


 異常な場合に疑われる病気
 食道がん、食道炎、食道静脈瘤、胃潰瘍、胃がん、胃炎、胃ポリープ、十二指腸潰瘍など



胃がんの検査

 胃がんの病期を決定するのに不可欠なのが、検査です。

「胃がんの検査で大事なのは、がんの大きさや形よりも、がんの深さです。それに、転移の具合を確かめることです。この2つの要素で病期が決まります」(山口さん)

 胃は、食べ物を一時的に貯蔵するための袋になっています。袋は筋肉で作られ、その一番内側は粘膜という柔らかい組織で内張りされています。がんはこの粘膜にでき、大きくなると、胃の内側に飛び出したり、胃の壁の中に深く食い込んでいきます。そしてこの壁を破ると、近くの大腸や膵臓などの臓器に広がったり、お腹の中に散らばったりします。壁の厚みは5ミリぐらいの薄さですが、この壁のどこまでがんが達しているかががんの深さで、これを深達度といい、T(腫瘍に由来)で表します。

 胃がんは壁の中を進んでいくばかりではありません。胃のリンパ管や血管の中に入り込んで、リンパ液や血液の流れに乗ってリンパ節や遠くの臓器にも飛んでいきます。これが転移です。この深さと転移の2つの要素でがんの病期が決まるのです。

 その深さと転移を調べる検査にはどんなものがあるのでしょうか。

 内視鏡検査、バリウムによるX線検査、CT検査、MRI検査、超音波内視鏡検査等、いろいろあります。

 内視鏡は、患者さんの口から入れて胃の内部を調べる検査です。粘膜の異常な凹凸や色の変わったところを調べるのですが、もう1つ重要なのが、がん組織の一部を採取し、顕微鏡で調べて、がんかどうかを最終的に判定する(確定診断)ことです。

 一方のCTは、X線被曝の難点はありますが、最近の装置は解像度がすばらしく、お腹の中の血管の走行やある程度のリンパ節転移も検出できるそうで、転移を調べるのに有力な武器です。これに対して、超音波内視鏡は、理論的には深さを見るのにいいのですが、潰瘍の痕とがんとの鑑別が難しいなど、精度が落ちるのが難点です。PET(陽電子放出断層撮影)も精度がよくなく、胃がんではその検査の意義もまだわかっていないそうです。


胃がんの名医

 胃がんの病院ランキング

  医療機関名         胃がん手術数   内視鏡治療  手術なし   所在地
1 癌研有明病院           296       185     194  東京都江東区
2 国立がん研究センター中央病院   199       207     251  東京都中央区
3 静岡県立静岡がんセンター     183       196     378  静岡県駿東郡
4 国立がん研究センター東病院    132       110     151  千葉県柏市
5 恵祐会札幌病院          118       79      32  北海道札幌市
6 山形県立中央病院         104       73      74  山形県山形市
7 千葉県がんセンター        102       53      32  千葉県千葉市
8 自治医科大学附属病院       99        64      90  栃木県下野市
8 広島市立広島市民病院       99        63      75  広島県広島市
10 四国がんセンター         95       51      123  愛媛県松山市
11 岩手県立中央病院         91       29      53  岩手県盛岡市
11 北里大学東病院         91        115     117  神奈川県相模原市
11 大阪市立総合医療センター    91        50      57  大阪府大阪市
14 東京女子医科大学病院      90        36      73  東京都新宿区
14 新潟県立がんセンター新潟病院  90        45      206  新潟県新潟市
16 大垣市民病院          88        26      121  岐阜県大垣市
17 仙台厚生病院          87        110      80  宮城県仙台市
18 倉敷中央病院          86        52      165  岡山県倉敷市
18 岡山済生会総合病院       86        46      74  岡山県岡山市
20 兵庫県立がんセンター      85        62      151  兵庫県明石市
21 虎の門病院           84        104     118  東京都港区
21 神奈川県立がんセンター     84        66      120  神奈川県横浜市
23 富山県立中央病院        82        75      79  富山県富山市
24 済生会熊本病院         81        70      73  熊本県熊本市
25 東京慈恵会医科大学附属病院   80        47      40  東京都港区
25 静岡県立総合病院        80        54      92  静岡県静岡市
27 埼玉医科大学国際医療センター  79        80      39  埼玉県日高市
28 大阪市立大学医学部附属病院   78        86      26  大阪府大阪市
28 福井県立病院          78        44      93  福井県福井市
28 新潟県立新発田病院       78        57      35  新潟県新発田市
31 順天堂大学医学部附属順天堂病院 77        54      87  東京都文京区
31 愛知県がんセンター中央病院   77        44      152  愛知県名古屋市
31 高知医療センター        77        28      22  高知県高知市
34 獨協医科大学病院        75        31      45  栃木県下都賀郡
34 大阪府済生会中津病院      75        90      38  大阪府大阪市
34 新潟市民病院          75        102      83  新潟県新潟市
37 横浜市立大学附属市民総合医療センター 74     90      51  神奈川県横浜市
37 大阪赤十字病院         74        70      120  大阪府大阪市
37 札幌厚生病院          74        68      67  北海道札幌市
40 長岡中央総合病院        73        81      110  新潟県長岡市
40 都立駒込病院          73        67      180  東京都文京区
42 岐阜大学医学部附属病院     72        49      35  岐阜県岐阜市
42 和歌山県立医科大学附属病院   72        82      25  和歌山県和歌山市
42 日立総合病院          72        26      65  茨城県日立市
42 大阪府立成人病センター     72        131     119  大阪府大阪市
42 北九州市立医療センター     72        49      -  福岡県北九州市
47 関西医科大学附属枚方病院    71        66      87  大阪府枚方市
47 久留米大学病院         71        31      38  福岡県久留米市
47 九州大学病院          71        51      81  福岡県福岡市
47 大阪医療センター        71        30      67  大阪府大阪市


胃がんの各種治療法とその特徴

 胃がんに対する治療法にはいくつかあります。手術療法が一般的ですが、抗がん剤を用いた薬物療法もあります。放射線療法は、特殊な場合には行われていますが、がんに対する治療法としては一般的ではありません。


【手術療法】

手術は胃がんに対して最も標準的な治療法で、がん細胞をすべて取り除くことで治癒を目指します。簡単に言えば、がん細胞のすべてが身体から取り除かれれば、それはすなわち、がんが治ったということになります。ただ、この場合の「すべて」とは、目に見えない細胞のひとつひとつも含めてということです。しかし、手術はあくまで肉眼で見えるものを切除する局所療法ですから、がんがその局所にとどまっていれば最も確実な治療法になりますが、目に見えないレベルでがん細胞がその局所を越えて広がっている場合には、がんをすべて取り除くことはできません。再発が必至ということになります。その場合は再発の状況により再度手術を考慮したり、切除が困難であれば抗がん剤治療や放射線治療が行われます。



  1) 内視鏡的粘膜切除術

一部の早期がんに対して、内視鏡を使ってがんを切除することが行われています。ただし、リンパ節はまったくの手つかずになるため、リンパ節転移の可能性がある人に対しては行えません。胃がんに対する内視鏡的治療には、スネアという金属製のワイヤーを用いるEMR(内視鏡的粘膜切除術:Endoscopic mucosal resection)とESD(内視鏡的粘膜下層剥離術:Endoscopic submucosal dissection)があります。EMRには1)2 channel 法(ストリップバイオプシー法)、2)Cap 法 (先端フード法)があります。後者には、1)ITナイフ切除法、2)先端系といわれるFlushknife、Hookknife、needleknifeなどを用いる方法に2大別されます。
内視鏡的治療の適応は、リンパ節転移の可能性がないことが原則であり、「胃癌治療ガイドライン」上、組織学的には、適応内病変は分化型で2cm以下の粘膜内癌。肉眼型は問わないが、陥凹型では潰瘍を認めないもの、とされています。適応拡大病変に関しては、慎重な術前診断、検討会での検討に基づき、完全一括切除が可能と判断されるものに関しては、治療を行っております。最近では治療器具や内視鏡手技の向上により、大きな病変でも適応を選べば、一括切除できるようになってきました。


  2) 開腹手術

一般的には、みぞおちから臍横まで約20㎝、縦に切開し、胃と周囲のリンパ節を併せて取ってくる手術です。お腹の中を十分に観察でき、あらゆる状況にも対応でき、手術操作が確実にできることから、今でも胃がん治療の重要な手技のひとつです。胃の切除方法には大きく分けて3通りあります。胃の出口(幽門)側を切除する幽門側胃切除、胃を全部切除する胃全摘、胃の入口(噴門)側を切除する噴門側胃切除です。これらは、がんが胃のどこにどれだけの範囲で存在するかやその進行度によって決定します。また同様に胃がんの範囲や進行度によってリンパ節郭清(リンパ節をきれいに取り除くこと)の範囲も変わります。ある程度進行した胃がんに対しては、胃から少し離れたリンパ節まで郭清するD2郭清を行い、早期胃がんの場合にはこれよりも更にリンパ節郭清の範囲を縮小します。高度進行胃がんの場合に薬物療法と組み合わせた更に広い範囲の拡大リンパ節郭清が行われることもあります。



   3) 腹腔鏡下手術

腹腔鏡下の胃がん手術は1990年代にわが国で初めて行われました。腹部に5mm~12mmの穴を数か所開けて、専用のカメラや手術器具を挿入し、モニター画面で腹腔内を観察しながら、器具を操作して胃の切除を行う方法です。腹腔鏡下手術のメリットは、一般的には、傷が小さく手術後の疼痛が少ない、術後呼吸機能の低下が少ない、回復が早いため早期に退院できる、より鮮明に拡大した画像で血管などを確認できる、などが挙げられます。

腹腔鏡下胃局所切除術
腹腔鏡下で胃の局所切除を行います。胃局所切除術では、胃周囲のリンパ節の郭清を行いませんので、リンパ節転移のリスクが極めて低いタイプの腫瘍(胃粘膜下腫瘍など)に限定して行われています。

腹腔鏡下胃切除術
最近では、早期胃がんだけでなく進行胃がんに対しても、腹腔鏡下にリンパ節郭清を伴う胃切除術が行われています。当院では胃がん治療ガイドラインに準じて、Stage Iの胃がんに適応を限定して行っています。




胃は食べたり飲んだりした物を一時的に蓄えておくところです。胃がんに対して手術を受けると、胃が小さくなったり無くなったりしてしまいます。消化や吸収に大きな変化はありませんが、一度にたくさん食べられなくなりますので、1日の食事の回数を増やすなどの工夫が必要になってきます。また、食べたものが早期に腸へ流れ込むことによる症状(下痢、腹痛、冷汗、立ちくらみ等:ダンピング症状といいます)が出たりする場合があります。ゆっくり時間をかけ、よく噛んで食べるようにする必要があります。


※術後補助化学療法について


これまで、胃がんの治癒切除(目に見えるレベルではすべて胃がんを切除できた)後に再発予防に薬物療法を行うこと(これを「補助化学療法」といいます)の有効性をしっかりと示した研究はありませんでしたが、最近、胃がんの治癒切除後にある種の抗癌剤を一定期間内服することにより、再発を予防する効果のあることが示されました。現在では、ステージIIとIII(ただし早期胃がんを除く)の胃がん治癒切除後には、ティーエスワンという抗癌剤を1年間内服することが、我が国における標準治療と考えられています。




【薬物療法】

化学療法は抗がん剤を使用する目的によって、(1)手術で取りきれずに残ってしまった少量のがん細胞を死滅させて再発を予防する(これを術後補助化学療法と言います)、(2)がんに伴う苦痛を改善したり予後を延長させる目的で使用する、の2つに分類されます。
(1)の術後補助化学療法は、手術で完全にとりきれなかったがん細胞を死滅させることで、手術単独では治らない患者さんを治す治療です。 一方、この治療は手術で治ってしまう患者さんにまで抗がん剤を投与することが問題です。使用する抗がん剤の効果と副作用を検討した結果、ティーエスワンの1年間の投与が有効であることが知られています。(2)の目的で用いられる主な抗がん剤は5-フルオロウラシル、シスプラチン、イリノテカン、タキサン系薬剤(パクリタキセルとドセタキセル)です。最初に行うべき治療は5-フルオロウラシル系薬剤であるティーエスワンとシスプラチンを組み合わせた治療法です。この他にも、ティーエスワンにタキサン系薬剤を組み合わせた治療法も期待されていますが、現在までに有効性の証明はされていません。この他、ティーエスワンとシスプラチンにタキサン系薬剤であるドセタキセルを組み合わせた3剤併用療法も検討されていますが、その効果や安全性の十分なデータはありません。
最近の研究で、胃がんの約20%にHER2(ハーツウ)という細胞増殖にかかわるたんぱく質が多く発現していることが分かりました。2009年の米国臨床腫瘍学会において、HER2を多く発現している胃がんにHER2の働きを抑える分子標的治療薬(トラスツズマブ)を併用すると、予後の改善することが報告されました。この薬剤は乳がんの治療薬として使われていますが、近い将来、胃がんにおける治療薬になると期待されています。
また、手術成績向上のため、手術可能な患者さんに対する術前化学療法の研究も進んでいます。高度リンパ節転移症例に対するティーエスワンとシスプラチンによる術前化学療法は、術前化学療法なしに比べて優れている可能性が高いことが示されています。現在、高度リンパ節転移を伴う症例に対して、術前化学療法がおこなわれるようになってきています。



【放射線療法】

放射線は、胃がんに対する効果が弱いうえに正常な大腸や小腸を損傷しやすいため、通常は胃がんに対して放射線を照射することはありません。しかし、脳や骨やリンパ節などに転移が起きたときに、その転移部位に放射線をかけることがあります。



スキルス胃がんとは

スキルス胃がん(スキルス性胃がん)とは、ボールマン分類の 4型の一部のことで、他の胃がんと同じように粘膜から発生しますが、粘膜面の変化をほとんどおこさずに、胃壁の中を広く浸潤(しんじゅん)していきます。特別な進み方をする悪性度の高いガンで、再発率が高いです。



スキルス胃がんの割合


スキルス胃がんのがん全体の割合はそれほど多くはありません。約 1割(12%ぐらい)です。30代、40代の女性に最も多くみられます。



スキルス胃がんの症状


スキルス胃がんは、胃の粘膜層の下に木の根のように広がっていきます。そして最終的には、胃が正常の半分ぐらいにまで収縮してしまいます。

胃が正常な大きさのうちにスキルス性胃がんを見つけるのはとても難しいです。検査では異常がないという診断であったのに、数ヶ月後には腹水(ふくすい)がたまりはじめて、すでに手遅れの状態になってしまうという場合もあります。

この原因は、スキルス性胃がんの発育が速いということではなく、スキルス胃がんが発生してから胃の収縮が始まるまでの時間が短いからです。



スキルス胃がんの診断


通常の胃がん検査である内視鏡検査ではスキルス胃がんの初期症状をみつけることは困難です。その理由は、スキルス胃がんは胃の内側の表面の粘膜部分から起こりますが、その表面に異常が出にくいガンだからです。

スキルス胃がんは発見された時点で、約60%の人が腹膜転移や広い範囲のリンパ節転移が見られます。



スキルス胃がんの転移


スキルス胃がんの転移は、腹膜播腫への転移がよく見られます。「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」とは、お腹の中全体にがん細胞が散らばる状態のことです。

スキルス胃がんの患者さんの約50%の人が腹膜播腫が見られるとされています。



スキルス胃がんの手術と治


スキルス胃がんは転移や浸潤(しんじゅん)を起こしやすいです。腹膜播腫(ふくまくはしゅ)や他臓器への転移がなければ手術できますが、発見時にはすでに手術ができないことが多いです。

手術した場合でも 5年生存率は約15%~20%です。


胃がんの末期

 胃ガンの末期は、

 ・胃の表面(外側)にがんが出ている上に、他の臓器にも
 がんが続いていて、さらに胃を養う血管に沿ったリンパ節に
 転移がある

 ・肝臓・肺・腹膜など、遠隔転移がある

などの状態で、ステージⅣに分類されます。 5年生存率は約10%前後です。

5年生存率とは、5年間の間に再発しなかった方、または 5年間の間に再発はしたものの生存している方も含まれるので、完治するという意味ではとても厳しいといえます。



緩和医療とは?


胃がんが発見されたとき、すでに末期である、また再発により末期がんになってしまった方に、抗がん剤などの治療をせずに痛みなどの苦痛を取り除く、または緩和することを「緩和医療(ベスト・サポーティブ・ケア)」といいます。

抗がん剤による治療効果と副作用などを考慮して、抗がん剤などによる治療を行うのか、緩和医療のみにするのかを決断することになりますが、大切なのは患者さん本人の意志です。

ですから、患者さんとそのご家族も含め、医師とのしっかりとした相談・コミュニケーションが重要です。



胃がんの治療 内視鏡手術

内視鏡的粘膜切除術


内視鏡とは、身体の中を先端にレンズのついた管を差し入れて観察し、場合によっては処置・治療をする医療機器です。

胃がん治療による内視鏡の手術(内視鏡的療法)は、口から内視鏡をいれて、胃がんを切除します。これを内視鏡的粘膜切除術といいます。

内視鏡による胃がんの手術は、早期の胃がんにのみ行われる治療方法です。内視鏡で切除できる範囲には限界があるので、絶対にリンパ節に転移していないと判断できる非常に早期の胃がんのみが対象となる治療法です。

内視鏡による手術が適応される条件は、がん細胞が転移しにくいタイプのⅠA型で、ガンのサイズが 2cm以下、リンパ節への転移がない、という場合です。早期がんの中でも 20%ぐらいにしか内視鏡的粘膜切除術は行えません。



腹腔的手術とは?


腹腔的手術とは、お腹に数カ所の小さな穴(5mm~12mm)を開け、そこから腹腔内や胸腔内にカメラと手術器具を挿入して行う手術で、内視鏡下手術ともいいます。

開腹手術に比べて、手術による体への負担が少ない、手術後の回復が早いなどのメリットがあるので、手術件数は増加しています。

しかし開腹手術と比べて、リンパ節の郭清(かくせい)が難しいこと、消化管をつなぎ直す技術の確立が十分とはいえないことなどから、胃がんに対する腹腔鏡手術を行うことはまだ少ないです。



レーザー療法


レーザー療法とは、内視鏡を使いレーザーでがんを治療する方法です。早期がんに対して行われることがあります。

レーザー療法には、高出力レーザーでがんを焼いて、凝固・蒸散させる「腫瘍焼灼法(しゅようしょうしゃくほう)」と、低出力レーザーでがんだけを攻撃する「光線力学的療法(PDT)」があります。


胃潰瘍とは

自分の胃液によって、胃・十二指腸の粘膜を自己消化してしまい、部分的に組織の欠損が起きた状態が、胃・十二指腸潰瘍で、消化性潰瘍とも呼ばれています。

胃潰瘍は、中年以降に多く、また、十二指腸潰瘍は、青年・壮年に多くみられます。
男女差では、男性に多いのが特徴です。消化性潰瘍と一口にいっても、短期間で治るもの、手術が必要なものなど、程度によって治療の方法は異なります。

コントロールしにくい、精神的ストレスが、多くの場合、その主因であるため、胃・十二指腸潰瘍の治療や再発防止には、医師の指示のもとで、しっかりした治療を受けなければなりません。

最近、欧米ではヘリコバクター(Helicobacter pylori)と言う菌が胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発や悪化に関係があるとされ、その除菌治療が十二指腸潰瘍の再発防止に極めて有効とする報告が数多くなされています。ただ、除菌による再発防止のメカニズムにはまだ不明の点が多く、一方、胃潰瘍では除菌と再発防止の関連は十二指腸潰瘍ほどはっきりした成績は得られていません。

現在のところわが国ではヘリコバクター除菌の是非についてのコンセンサスは得られていませんが、ヘリコバクターの影響がある症例も現実で、今後の課題だと思います。


胃潰瘍の症状と診断

胃潰瘍の症状
一般症状・局所症状ともに胃潰瘍に特異的なものはありません。
潰瘍の自然歴のなかで、比較的古い、再発を繰り返した潰瘍においては食後の心窩部痛(みぞおちの痛み)、胸やけなどの定型的な症状を示しますが、高齢者では痛みを自覚しない場合もあり、不定愁訴や吐血が初発症状の方もあります。


胃潰瘍の診断
 自覚症状だけでは胃潰瘍の確定診断は出来ませんし、胃癌などでも心窩部痛、胸焼けもありますので、必ず検査が必要です。
 検査としては胃透視と胃内視鏡検査があります。
胃透視はバリウムという液体を飲んでいただき、レントゲンで潰瘍部のバリウムの溜まり(ニッシェ;影)を見つけます。胃透視だけでの診断には限界がありますので、出来れば内視鏡の併用が必要です。


胃潰瘍治療の実際

a. 一般療法
 潰瘍患者さんでは、生活環境と潰瘍の発生・再発に因果関係を認めることが少なくないため、因果関係の推測できるストレス因子があれば、その除去を考えます。

b. 食事療法
 酸分泌抑制薬の適切な内服下では、原則として食事制限は不要です。刺激物を控える程度でよいでしょう。

c. 嗜好習慣
 主として喫煙とアルコールが問題とされてきましたが、ほとんどの例で潰瘍の治癒遷延化・再発因子とは認められません。したがって、再発との関連が濃厚な例に限って制限します。

d. 薬剤
 消炎鎮痛薬では胃潰瘍を引き起こす可能性がありますが、そのほかにも副腎皮質ホルモン、糖尿病薬、抗生物質、降圧薬など多くの薬剤が潰瘍の発生と難治化に関係しうると考えられます。
 しかし、一般的には酸分泌抑制薬が適切に内服されておれば処方を神経質に回避する必要はありません。これら薬剤は基礎疾患に対し継続投与の必要なことが多く、潰瘍との関連性が強い場合には、より胃粘膜障害の少ない薬剤への変更、酸分泌抑制薬の増量または制酸薬、粘膜被覆薬との併用を試みます。ただ消炎鎮痛薬では坐薬でも胃粘膜障害を引き起こす例があることを知っておくべきです。

e. 薬物療法
��2(エッチツウ)プロッカーと言う酸分泌抑制薬が胃潰瘍に使われだして、胃潰瘍の薬物療法は全く変わりました。潰瘍の治癒率もあがり、胃潰瘍で胃の手術を受けることはほとんどなくなりました。
��2プロッカーには、最初のタガメットに始まり、ガスター、ザンタック、アルタット、など多くの薬剤が開発されています。
また最近ではPPIというH2プロッカーよりもっと制酸機能の強い薬剤も発売され早くかつ高い治癒率をもたらしています。
維持療法胃潰瘍に対し防御因子強化薬を初期治療から併用すると質の高い潰瘍治癒が得られ再発の抑制につながるという成績があります。また治癒後の維持療法に用いると再発抑止に有用だといわれています。


胃がん 食事

胃がんと食事の関係は、いろんなデータがあります。どんなデータであってもこれらの結果に過敏に反応することはありません。長い間の生活習慣や個人々の体質などの違いから、そのデータが直接、自分自身に当てはまるとはいえないからです。がん予防の考え方や傾向を掴むには参考になり、大切なことですが、それがそのまま病気に結びつくと考え、神経質になることは、かえってよくありません。

 肝心なことは、食生活の習慣を改善するように心がけることです。これは「胃がん予防」に良いとか、「健康に良い」と聞けば、同じ物ばかり食べたり、健康食品を飲み続けたりすることは、よくありません。がん予防に役立つ食事は、偏らずバランスよく摂取することであって、それを習慣づけることが大切になります。

��1)塩分の摂取は、控えめにする。食塩として1日10g未満、特に塩分濃度の高い食品(10%程度)は、週1回
  以内は控える。

��2)野菜はできるだけ毎日食べるようにする。
  野菜は毎食、果物は毎日食べて、野菜や果物不足(400g/日)にならないようにこころがける。

��3)熱い飲食物、保存肉・加工肉の摂取は、控えめにするなど。
 食事に心がけるほか、自分にできる定期的な運動の継続(30以上歩くなど適度な運動、週1回程度は汗をかくような運動)など、食生活だけでなく、生活習慣を改善することが健康維持には重要になります。



胃がん 切除後は小分けの食事

胃を切除すると、食べ物が胸につかえる、おなかが張る、下痢をする、めまいや動悸(どうき)が起こるなどの症状が表れやすい。これらを避けるには、

〈1〉1回の食事量を少なくし、食べる回数を1日5、6回に増やす。

〈2〉よく噛んで、ゆっくり食べる。

〈3〉最初は硬い物や脂っこい物は避ける。

〈4〉筋肉が落ちると疲れやすくなるので体を動かす。
などが大切になります。

上手に食べれるようになるまで、少しずつ、きちんと食べていけば、多くは3~6か月で慣れ、1年もたてば手術前の7割程度は食べられるようになるという体験もあります。

胃がんの原因 食生活


最近では、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染も、胃がんを起こりやすくすることがわかっています。

 胃がんの原因とされるピロリ菌は、胃の粘膜に作用して胃の中にある尿素を二酸化炭素とアンモニアに分解する酵素を作ります。アンモニアは、粘膜刺激,腐蝕性があり,胃壁を傷つけてしまいます。

 この状態が長く続くと、胃はダメージを受けてしまい、十二指腸潰瘍や胃ガンを引き起こす原因になります。

 他にも発ガン性のある食品添加物があります。日本人の食品添加物摂取量は、1人あたり1日平均で約11グラムと推測されています。

 1年間にすれば約4キログラム、50年間で約200キログラムもの食品添加物を口にしていることになります。注意したほうが良いと思われる食品添加物には次のようなものがあります。


    注意すべき食品添加物

赤色2号 着色料 菓子、清涼飲料水、洋酒、冷菓 発ガン性、アメリカで使用禁止

赤色3号 着色料 和洋菓子、かまぼこ、福神漬け、イチゴ、粉末食品 ドイツ・ポーランド・アメリカで使用禁止

緑色3号 着色料 お菓子、清涼飲料水 ラットで発ガン、染色体異常、EC諸国で使用禁止

青色1号 着色料 お菓子、清涼飲料水 発がん性、EUで使用禁止

赤色104号 着色料 かまぼこ、ソーセージでんぶ・菓子など 遺伝子損傷、変異原性・染色体異常、発ガン性のため多くの国で使用禁止

赤色105号 着色料 かまぼこ・ウインナー・菓子・さくらんぼなど 発癌性の疑いがあるので諸外国では使用禁止です。甲状腺や肝臓に影響が出る可能性あり。

赤色106号 着色料 ハム、ソーセージ、福神漬け、味噌漬け、さくらえび 遺伝子損傷・変異原性・染色体異常、発ガン性のために多くの国が使用禁止

赤色102号 着色料 漬け物、たらこなど 発がん性、ベルギー・カナダ・アメリカで使用禁止
コチニール色素 着色料 清涼飲料水、冷菓、菓子類、ハム、ソーセージ、イチゴ牛乳、ファイブミニ、キャンデー、ジャム、カマボコ DNA や染色体に損傷を与え突然変異を起こす性質あり(変異原性)。

サッカリン・サッカリンナトリウム 甘味料 清涼飲料水、ガム、漬物、アイスクリーム 低純度のものは発ガン性(子宮ガン・膀胱ガン)・カナダで使用禁止

アスパルテーム 甘味料 パルスィート、清涼飲料、ガム、アイス、ゼリー リンパ球の減少・動物実験で脳に腫瘍、、妊婦は特に注意

ソルビン酸カリウム 保存料 かまぼこ、イカ・タコの薫製品、佃煮、煮豆、ジャム、ケチャップ、みそ、たくあん 染色体異常・亜硝酸ナトリウムと一緒に摂ると発ガン性物質ができる

プロピレングリコール 保存料・品質保持剤 生めん、イカ・タコの薫製品、たらこ、ジャム、ケーキ、チ-ズ、ギョーザの皮、など 染色体異常・発ガン・肝臓、腎臓障害・ドイツでは使用禁止
亜硝酸ナトリウム 発色剤 ハム、ソーセージ、ベーコン、コンビーフ、いくら、すじこなど 強い毒性があり、吐き気、下痢、貧血、中枢神経麻痺など。遺伝子にキズ。強力な発ガン物質。

プチルヒドロキシアニソール(BHA) 酸化防止剤 バターなどの酸化防止剤 動物実験でガンがでて禁止になったが、米の圧力で禁止が無期延期に。
臭素酸カリウム イーストフード パン FAO/WHOで小麦処理剤として不適との発表、パン以外は使用禁止。


 

胃がんになりやすい食事

胃がんになりやすい食事とは、

どのような食事なのでしょうか。


胃がんは、日本において、発症率の高いがんの1つです。

その理由として、高塩分の食事が考えられます。

とくに、塩魚や漬物といった塩分の高い食事は、

胃の粘膜に負担をかけてしまいます。


少し前の北陸や東北では、

胃がんの患者さんが、非常にたくさんいらっしゃいました。

それは、この地方特有の食生活にありました。

この地域は、冬が長く、雪におおわれているため、

食物を塩漬けにする習慣がありました。


現在は、新鮮な野菜や果物が年中食べられるので、

そのようなことはありませんが、

以前は、塩分をたくさん使用した食品が、

テーブルに並ぶことが多くあったため、

このような状況でした。


胃がんは、食生活との関わりが大きく、

食生活を見直すことで、予防も可能です。

最近の研究では、野菜や果物の摂取が、

胃がん予防に有効であるというデータもあります。

これらの野菜や果物に含まれるβカロチンやビタミンC、

ビタミンEなどが、細胞に傷がつくのを防いでくれます。


そして、冷蔵庫の普及が、食べ物を塩漬けにしなくても良くなり、

新鮮な野菜や果物が、年中手に入るようにもなりました。


このように、高塩分の食事は、

とくに胃がんに関しては、ハイリスクになっています。

少しでも、塩分を控える食事に切り替え、

さまざまな種類の野菜や果物を食べることが、

胃がん予防につながります。


胃がん 予防のための食事

胃は、食べ物を消化する働きをする場所であることから、

食生活との関わり方も深く、

胃がん予防には食生活が大きく影響しています。

ですから、胃がん予防の1つとして、

食生活を見直してみましょう。


まず、胃がん予防には、塩分を控えることが大切です。

塩分の過剰摂取は、胃の粘膜を傷つけてしまいます。

この状態を繰り返すと、胃に負担がかかり、

ガン化することもあります。


そして、喫煙、多量のアルコール摂取も、

できるだけ控えましょう。

これらも、たばこを吸わない人や、

お酒を飲まない人に比べ、

胃がんのリスクを高めます。

その差は、約3倍から5倍と言われています。


そして、焦げた食品や、

カビの生えた食品も、避けるようにしましょう。


これらの胃がんの原因となるようなものを避け、

予防効果のあるものを積極的に摂取することで、

がんを予防することにつながります。


がんの予防に良いとされる野菜を、

たくさん食べることも、お勧めします。

野菜に含まれるビタミン、βカロチンなどは、

活性酸素の発生を、抑える効果があります。

野菜を良く食べる人は、食べない人に比べ、

胃がんの発症率が、半分以下となっています。

また、果物においても、食べる人の方が、食べない人に比べ、

がんの発症率が約30%低いというデータがあります。


このように、食生活を見直すだけでも、

胃がんの予防効果は、かなり高まります。


胃がん 再発防止に効果のある食事

胃がんの再発防止には、

どのようなことに気を配れば良いのでしょうか。

胃がんに関しては、

とくに塩分の摂取量を控えることが大切です。


がん予防のために推奨される1日の塩分摂取量は、

��g以下とされています。

しかし、日本人の1日あたりの平均塩分摂取量は、

約13gとなっています。

ですから、意識的に塩分を控えないと、

��gという量に抑えることは困難です。

まずは、この平均値より下げることからでも、

はじめてみましょう。


そこで、塩分を控えるための食事のポイントを紹介します。

まず、みそ汁などの汁物は、1日1杯までにしましょう。

そして、漬物やつくだ煮は、

なるべく避けるように心がけます。

また、調味料は知らないうちに多めに使ってしまう傾向があるので、

計量スプーンなどできっちり計ってから使います。


その他、塩分の高い食品として、加工食品があります。

ハムやソーセージ、練りもの、干物、インスタント食品など、

日常的に食べることを控えることが大切です。


そうはいっても、塩分を使用すると食が進み、

うまみを出すには必要な調味料です。

ですから、献立全てを薄味にするのではなく、

一部はしっかり味のついたものを加えたり、

少しの塩分でも、舌に濃く感じるような調理法を取り入れるなど、

料理の仕方を工夫するようにしましょう。


このように、塩分を控えることは、

胃がんだけでなく、他の成人病にも効果があります。

今までの食生活を振り返って、塩分を摂り過ぎている傾向があれば、

少し控えてみましょう。


胃がんと食事

まず、胃の役割について考えてみると他の臓器よりも食事とはかなり密接な関係をもっています。



なぜなら摂取した食物を胃液で分解、消化する働きをもつ器官であるから、その部分にがんなどが発生することは胃がんと食事には何らかの因果関係があるのでは?との想像も不思議ではありません。



 そこで胃がんが日本人が最も多くかかるがんであることから食事の分析、研究が進み、胃がんと食事の因果関係が徐々に解明されて健康管理のひとつに食事の見直しが叫ばれ、その必要性が社会に浸透して成果を挙げています。



たとえば具体的な栄養素の知識や食品の料理方法などの専門の料理家の腕を借りて料理方法を紹介したり、ひとたびある食品ががん予防になると話題になればその食品がやたらと持てはやされて、市場の混乱を招くほどになり、少々煽りすぎの傾向さえうかがえます。



 それでは、具体的に胃がんにかからない理想の食事とはどんなものなのか検証してみよう。



 まずは栄養バランスを考えて、塩分を低く抑えたメニューや多くの種類の食物を少しずつ、飲酒も適量になど1日3回取る食事に気を使うことは健康維持に貢献しています。



また、食事ではなかなか取れない栄養素をサプリメントなどで補ってこうした補助食品も上手に取り入れて理想に近い食事を心がけたい。また、最近ではピロリ菌感染が胃がんの温床の原因との研究発表があってからはこのピロリ菌の撲滅のための研究がにわかに注目されてきました。


 ところで、既に胃がんにかかってしまい、がんを切除して胃が小さくなったり、全くなくなってしまうと食事の制約はおおきく摂取量や口にできる食品も限られてきたり、患者にとっては食生活の変化に対応していかなくてはならない。現在ではそうしたダメージを極力抑えた治療方法が考案され、術後も食事の制約を受けることなく、食べる楽しみもあるのは理想的です。



食生活の改善は胃がんや他の病気の予防にもつながるので昨今の食育といった食全般の教育の一環に胃がんと食事をテーマとして盛り込めば子供の頃から胃がんやその他のがんに対する意識も高まり、胃がんの減少の成果の一翼を担うことにもなるでしょう。


胃潰瘍とは

胃潰瘍はストレスが原因で起こることが多く、胃液中の「塩酸」や「ペプシン」により胃を保護している粘膜が消化される現代社会の代表的な病気の1つです。


胃潰瘍の「潰瘍」とは、皮膚や粘膜がただれたり、崩れ落ちるという意味で、胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、「消化性潰瘍」とも言われています。
以前は、男性に多い病気でしたが、更年期の50代の女性にも多く見られ、若い人の発症率も高くなってきました。


胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、一度かかると一生涯潰瘍になると言われる程、その人の性格と大きな関わりがあります。
胃潰瘍は、神経質、几帳面、ストレスをため込んでしまう、よく気がきく、悩みや責任を一人で抱え込むなどの性格の人がかかりやすい病気です。
性格はなかなか変えることが難しいので、自分にあった気分転換法を見つけることが大切です。



胃潰瘍の症状

胃潰瘍の症状
•みぞおち辺りの腹痛
•吐き気・嘔吐・食欲不振・体重減少
•吐血
•下血
•背中の痛み
•口臭・酸っぱいゲップ・胸やけ


みぞおち辺りの腹痛
胃潰瘍の自覚症状の90%は腹痛で、ほとんどが上腹部の「みぞおち」に痛みを感じます。

胃潰瘍は食後に痛み出し、あまり食事を取りすぎると長時間痛みが続き、
空腹時に腹痛が起こり食事をすると治まる場合は、十二指腸潰瘍の症状に多くみられます。


また、腹痛が強ければ強いほど、胃潰瘍の状態が悪いわけではなく、胃潰瘍にかかっていても全く痛みを感じない場合もあり、気が付かないまま、潰瘍が悪化し胃に孔(あな)が空き「穿孔性潰瘍」になって、初めて激痛が起こり胃潰瘍に気づくといった場合もあるので早めに受診しましょう。


吐き気・嘔吐・食欲不振・体重減少
胃潰瘍になり胃液が多く出すぎで胃粘膜とのバランスが崩れると、胸やけ、酸っぱいゲップなどが起こり、嘔吐、吐き気、食欲不振により体重が減少するなどの症状が出ることがあります。また、胸やけは胃液が食道に逆流して起こる症状で、胃液が多すぎる場合にみられます。


吐血
胃潰瘍の場合、胃酸によってどす黒くなった血を吐血します。
出血時には、冷や汗・脈拍が乱れる・血圧低下・激痛を伴うこともあります。
出血性胃潰瘍は、潰瘍のできた場所の血管が破れるのが原因です。

また、真っ赤な血を吐く場合は、肺や気管から出た喀血(かっけつ)です。


下血
胃潰瘍で便に血が混じる場合、どす黒い便が出ます。
出血性胃潰瘍は、潰瘍のできた場所の血管が破れるのが原因です。

この便を「タール便」と言いますが、下血の場合気づかないこともあり、貧血になってやっと胃潰瘍で吐血していると気付く場合も少なくありません。

下血は、胃癌や大腸ガンの症状でもありますし、大量に下血する場合、病院で検査をする必要があります。


背中の痛み
胃潰瘍で腰痛になったという方がおられますが、膵臓(すいぞう)にまで炎症が及ぶと背中が痛むことがあります。


口臭・酸っぱいゲップ・胸やけ 

胃潰瘍になると、胃酸過多によって起こる口臭、酸っぱいゲップ、胸やけなどの症状が見られることがあります。
また、口臭は胃潰瘍だけではなく、肝炎・慢性胃炎・胃下垂など、その他の病気でも起こります。



胃潰瘍の原因

胃潰瘍の原因
1.イライラ、過労、睡眠不足、緊張、不安、手術前などからくる肉体的・精神的ストレス
ストレスが胃潰瘍の原因となることは多く、急性の強いストレスは急性胃潰瘍の原因にもなっています。


2.ヘリコバクター・ ピロリ菌の感染
胃潰瘍の原因の7割以上がピロリ菌とされており、十二指腸潰瘍においては9割を占めています。
ピロリ菌は、口から入って感染すると言われており、ピロリ菌にかかると、まず、慢性胃炎となり、そのごく一部が慢性胃潰瘍などになります。

ピロリ菌が原因の胃潰瘍の場合、抗生物質を1~2週間服用して、ピロリ菌を除去すれば治ります。


3.刺激の強い香辛料や熱過ぎたり冷たすぎる飲食物を摂取し続けた場合
刺激の強い香辛料など、胃を刺激するものを過剰摂取すると胃潰瘍の原因となることがあります。


4.痛み止めやステロイドなどの強い薬や長期にわたる服用

薬の長期服用などで胃に負担がかかり胃潰瘍になることがあります。 
腰痛、膝痛、関節リウマチなどの痛み止めとして使われる非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAID=エヌセイド)も、痛みを抑えてくれますが、胃腸の粘膜を荒らしてしまう副作用があり、胃潰瘍を引き起こすこともあるので、H2ブロッカーなどの胃腸薬を処方してもらいましょう。

また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍にならなくても、潰瘍の前段階として、胃炎などの胃粘膜傷害にかかる確率が高いので、気をつけましょう。


5.喫煙・飲酒・コーヒー
喫煙は胃粘膜の血流を低下させるため胃潰瘍の引き金となることがあります。
また、大量の飲酒やコーヒーは胃に負担がかかり胃潰瘍の原因となることがあります。


6.暴飲暴食、早食いなど不規則な食生活
暴飲暴食、寝る前に食事をとる、よく噛まないで早食いするなど、不規則な食生活は胃に負担がかかってしまいます。



胃潰瘍のしくみ
胃潰瘍は、胃液と胃を保護する粘膜とのバランスが崩れた時に起こります。
食べ物を消化してくれる胃液は強い成分で胃粘膜を溶かすほどの力があるので、胃粘膜は消化されないように粘液を出しています。

胃液の胃酸を「攻撃因子」、胃粘膜の抵抗力や粘液を「防御因子」と言い、普段は両方のバランスが保たれています。
ところが、ストレスや服薬で「攻撃因子」が強くなってしまったり、抵抗力の低下や粘液の分泌が減ることで「防御因子」が弱くなってしまい、バランスが崩れると、胃粘膜が消化されて傷つき、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が起こるのです。

十二指腸潰瘍と胃潰瘍は、年齢によって発症率が違い、若い人は、十二指腸潰瘍を発症することが多く、年を重ねると胃潰瘍を発症することが多くなります。

塩酸やペプシンが出てくる、潰瘍のできにくい「胃底腺領域」と、「幽門腺領域」との境目の幽門腺領域側に潰瘍ができます。

この境目は、年を重ねるごとに上へ上がっていくので、若い人が十二指腸潰瘍を発症するのに比べ、中年の方ほど胃潰瘍になることが多くなるのです。



吐血なら胃潰瘍を疑う

胃潰瘍と言う病気は胃の粘膜が傷んだ状態のことです。

これは自分の体内の胃酸が胃自身を消化してしまうために起こります。

急性胃潰瘍の場合大量の吐血を伴うことがあります。

これは胃潰瘍がひどくなり粘膜の内側の筋層にまで広がっている時に起こるものです。

通常は胸やけや胃の痛み、不快感と言ったことがほとんどです。

いきなり吐血して家族が驚いてしまうというケースもあるようです。

胃潰瘍で吐血した時にはその量にもよりますが、顔面蒼白ということになってしまうからです。

貧血状態になることもあり、すぐに病院に行くことが大事です。

症状がひどい場合には輸血が必要になります。

吐血ではなく血便が出ることもあります。

色が黒くなってしまうことからタール便と呼ばれています。

吐血するということは胃潰瘍からの出血がひどいということを意味しますから、緊急の対応が必要となります。

胃の中の血液を取り除いた後に内視鏡を使って潰瘍の止血をすることになります。

これは薬を塗る場合もありますし、クリップのようなもので止血することもあります。

これはクリップで血管を抑えてしまうというものです。

また、出血部分を焼くことによって止血するという方法を取る場合もあります。

どの方法を取るかと言うことは潰瘍の状態によって判断されます。

どの場合でも完全に止血してしまうまでは、食事などを取ることはできません。

したがって、吐血やタール便があったら即入院と考えてよいでしょう。

その前に何らかの自覚症状があるはずですから、日ごろからの健康管理が大事と言うことです。

胃潰瘍を薬で治療する

胃潰瘍になった時に服用する薬について考えてみましょう。

食べたものは最初に唾液で溶かされて、食道から胃へと送られます。

胃では胃酸などの消化液で分解されていきます。

それから十二指腸で膵液、胆汁などによる分解がなされます。

そして小腸、大腸で栄養分として体内に吸収されるということになります。

口から飲む薬も同じような経路を辿ります。

胃薬と言うものは近代医学の中で大きく進歩したと言われています。

市販されている薬も多いですし、病院でもらうものもあります。

胃潰瘍の原因としてはストレスなどが考えられますが、自律神経が正常に働かないことにより消化液と胃の粘膜のバランスが取れなくなっていると考えられています。

抗コリン剤という薬は胃液の分泌を抑制して胃の粘膜が傷つかないようにするものです。

胃の働きを抑えてその代わりに消化液を補充するというものです。

本来の胃の働きが悪くなっているのですが、食べ物を消化するという活動を止めるわけにはいきません。

そのための胃薬なのです。

そう考えますと胃薬は胃潰瘍を治療しているわけではありません。

それ以上に悪化しないようにしているだけなのです。

胃潰瘍の程度によっては痛みを伴うこともありますから、痛みを抑えるためのロートエキスと言う成分を含む薬もあります。

消化器は自律神経でコントロールされていますが、それはストレスなど精神的な要因によって影響を受けやすいということを意味しています。

日ごろからの規則正しい生活や食生活が胃潰瘍を予防するために有効な手段であるということが言えるのです。



胃潰瘍と胃炎の違い

胃炎と胃潰瘍について説明しましょう。

胃の粘膜が損傷を受けた状態を胃炎と言います。

原因としては胃液で胃の粘膜が消化されることによるものです。

軽度の胃炎の場合は胃薬などを飲むことで治ることがほとんどです。

しかし、それを放置しておくと損傷の状態がひどくなっていきます。

そしてそれが海洋状態になった場合に胃潰瘍と言われるのです。

胃炎でも出血を伴うケースもあります。

軽度だからといって安心してはいけないのです。

一般的な原因としてはストレスやアルコール、タバコと言ったものが上げられます。

胃炎の自覚症状としては腹痛や胸やけ満腹感と言ったものです。

痛みが持続するのではなく、食事から2,3時間たったころに痛み出す場合が多いと言われています。
これは食物が胃から腸へと移動する時間帯と考えられます。

したがって胃の中が空っぽになると痛み出すということです。

胃潰瘍は胃炎から症状が進んだものですが、胃に穴があいてしまうこともあります。

その場合には多量の出血を伴ったりしますから、入院しなければならなくなります。

胃の内壁は粘膜層から粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層と何層にもなっています。

それがすべて消化されて穴があくという状態なのです。

何となく想像しただけでも痛そうな気がします。

病院に行って内視鏡などで見てもらうことによって、一目瞭然です。
状況だけでは胃がんの疑いもありますから、内視鏡検査の時に組織を採取してがんの検査を行うことが一般的です。

いずれにしても胃炎の軽い症状の内に治療することが大事です。



胃潰瘍を胃酸の調節で治す

胃潰瘍になった時の治療法について紹介しましょう。

だいたいの病院では薬による治療が一般的です。

薬としてはプロトンポンプ阻害剤、H2受容体拮抗剤というもので胃酸の発生を抑えます。

これによって潰瘍はほとんど治るようです。

しかし、根本原因を取り除いていませんから薬を止めると再発してしまいます。

胃潰瘍の再発の原因はピロリ菌だと考えられています。

ピロリ菌を除去しない限り胃潰瘍の完治はないということです。

ですから、胃酸を抑える薬には効果はありますがあくまでも対症療法ということです。
その他の薬として胃の粘膜における血の巡りをよくするために粘膜保護剤が併用されることもあります。

昔は外科の手術によって潰瘍を取り除くと言う治療が行われていました。

それはH2受容体拮抗剤がなかったためです。

それでも胃潰瘍の状態がひどく、大量出血していて内視鏡を使った止血ができないような時には手術が行われているようです。

胃潰瘍の根本原因とされているピロリ菌の除去について説明しましょう。

基本的には薬を使用して菌を死滅させます。

この薬は1週間続けて服用しなければなりません。

その副作用として下痢の症状、湿疹ができることなどがあります。

場合によっては副作用が強すぎで、除菌の治療を中止せざるを得ない場合もあると言われています。

また、この除菌によって実際に除菌できる率は約8割程度です。

ですから、必ずしも確実ではないということですから、必要に迫られない限りはピロリ菌の除菌はしないでよいと考えられます。

もちろん、胃潰瘍になっているのであれば除菌を勧められると考えてください。


お酒と胃潰瘍の関係

胃潰瘍になる原因としてストレスやピロリ菌がよく言われています。

しかし、アルコールや喫煙も原因としては無視できません。

胃の粘膜を傷めるようなものは何でも悪い影響を与えるということなのです。

香辛料などの刺激の強い食事も胃にはよくありません。

胃潰瘍になってしまったらアルコールはまずあきらめなければなりません。

もちろん適度なアルコールであれば胃潰瘍になることはありません。

過度の摂取が問題なのです。

また、毎日晩酌をしている人も要注意かもしれません。

胃潰瘍は急激になるものではなく、徐々に進行していくものなのです。

アルコールを毎日摂取することで胃の粘膜を継続的に傷め続けることになります。

アルコールを飲んだ時には食生活のバランスが悪くなることも原因です。

アルコールを飲む場合でも野菜を多めにとるとか肉類を控えると言った工夫が必要です。

そうすればアルコールの量が多少増えても胃へのダメージは少ないのです。

アルコールを飲まなくても暴飲暴食をしていると胃潰瘍になってしまうのです。

もちろん胃潰瘍だけがアルコールによる病気ではありません。

その他の病気になる可能性もありますから、くれぐれも過度のアルコールは止めるようにしましょう。

胃潰瘍は一度治っても再発しやすい病気でもあります。

治ったからと言ってアルコールを飲み始めると再発することもあり得るのです。

消化器系の病気は大抵が食事のバランスを保つことによって防ぐことができます。



胃潰瘍とピロリ菌の関係

胃潰瘍の原因としてよく言われることはストレスやアルコールの飲み過ぎがあります。

しかし、それは全体の1割程度と言われています。

それ以外はピロリ菌と呼ばれる菌によって引き起こされる胃潰瘍なのです。

ピロリ菌による胃潰瘍の場合は慢性胃潰瘍と呼ばれます。

胃や背中などの傷みが慢性的にあるという症状です。

特に空腹時にその症状が表れやすいと言われています。

夜中などに痛み出すのです。

ピロリ菌に感染したからと言って必ず胃潰瘍になるということではありません。

胃潰瘍になる前の段階が長い人も多いのです。

最初は慢性胃炎になります。

それが進行すると委縮性胃炎と呼ばれる状態になります。

そしてそれが胃潰瘍や胃がんになるということです。

慢性胃潰瘍の場合はその経過をたどりますが、個人差がありますからどこまで進行するかはわかりません。

慢性胃潰瘍が発病するのは中高年になってからです。

中高年までにピロリ菌に感染する人は8割ぐらいと言われています。

慢性胃潰瘍はその中の2,3%程度です。

また、発病までの期間が長いですから自覚症状も長年の痛みとなります。

治療は胃潰瘍の対処療法を行うこともありますが、ピロリ菌の除去によって抜本的に直すこともできます。
しかし、ピロリ菌の除去のための薬は副作用が強いことや100%の除去ができないという欠点があります。
まずは病院に行って見てもらうことが先決です。
その上でどのような治療をすればよいのかを相談しましょう。
自覚症状だけでは胃潰瘍の診断はできませんから胃カメラを飲むことになるでしょう。



急性胃潰瘍について

胃潰瘍には2種類の形態があります。

急性と慢性です。

急性胃潰瘍はストレスや暴飲暴食などが原因の場合が多いようです。

また風邪薬の服用によって胃潰瘍になることもあります。

胃潰瘍はストレスが原因と言われていたのですが、最近ではそれは全体の中では少ないという統計データがあります。

胃潰瘍の大半は慢性胃潰瘍と言われるものになるのです。

慢性胃潰瘍の場合はピロリ菌が原因であることがわかっています。

ピロリ菌に感染することによって胃の内部にさまざまな物質が生成されます。

それで胃の内膜が炎症を起こしてしまうのです。

その炎症部分に胃酸がかかって潰瘍になっていくのです。

怪我で例えれば傷の上から酢をかけるようなものです。

ピロリ菌は日本人の約半数が保菌者と言われています。

しかし、ピロリ菌がいるからと言って必ず胃潰瘍になるということではありません。

ピロリ菌の感染は子どもの時が一般的です。

そして胃潰瘍の発祥は50代ぐらいの年代なのです。

ピロリ菌による胃潰瘍が慢性と呼ばれる理由はここにあります。

つまり、数十年かかって少しずつ胃潰瘍の原因が作られているということなのです。

ピロリ菌感染から慢性胃炎になります。
そしてそれから委縮性胃炎と呼ばれる状態になります。
そして、その中のある人が胃潰瘍になるということなのです。
急性胃潰瘍の場合はその原因を取り除き、症状を治すことで完治します。
アルコールやたばこを止めることが一番ですね。
規則正しい食生活を送ることが退治なのです。



胃潰瘍になったら摂る食事

胃潰瘍になると食べ物に注意しなければなりません。

胃が弱っていても食事は取らなければならないからです。

胃潰瘍のための治療方法として薬を飲むことが一般的です。

この薬は胃液の働きを抑えるものですから、消化力が弱まった状態となります。

ですから、基本的な考えとしては消化し易く胃に負担をかけない食事をすることになります。

もちろんアルコールやたばこ、香辛料などは禁物です。

ダメなものの代表を挙げてみましょう。

肉などの油もの、それから甘いデザートなどがあります。

胃の働きを助けるためによく噛んで食べることもいいですね。

それは健康な人にもぜひやってもらいたいことです。

材料としてオススメのものを紹介しましょう。

まず里芋です。

胃潰瘍の改善の他に肥満予防にも効果があります。

それからキャベツです。

キャベツは胃の粘膜を再生する働きがあると言われています。

また、カリウムやビタミンCが含まれていますから抗酸化作用があるのです。

大根や長いも、バナナなどもオススメです。

インターネットなどで調べてみるといろいろなものがあるようです。

食事は胃潰瘍の患部に直接影響しますから、気を付けておくことが大事です。

胃にやさしい味噌汁を紹介しましょう。

味噌汁自体は直接胃にやさしいわけではないのですが、大根やイモ類を入れることによって消化をよくしてくれるのです。

大根や人参、里芋と言ったものを入れてみましょう。

サイコロ状の豆腐もいいです。

食事療法で胃潰瘍を治す

胃潰瘍の治療として食事療法があります。

元々胃潰瘍の原因として暴飲暴食など食生活の乱れがありますから、それを治すことによって胃潰瘍
を治そうという考え方です。

基本的には胃にやさしい食べ物を取ることを心掛ければよいのです。

それほど難しいことではありません。

胃潰瘍の症状は様々ですが、その進行度合いによって治療方法も変わってきます。

初期の段階ならば食事療法で済むこともありますが、それ以降では薬を飲むことやひどい場合は入院しなければならないこともあります。

また、治療が終わった後はまた通常の生活を始めてしまうと、再発する可能性が高いですから、病後の食事にも気を配らなければなりません。

具体的な食事療法について紹介しましょう。

胃にやさしい食物を考える前に胃に悪いものを挙げてみましょう。

まず、脂身の多い物、揚げ物などは胃に負担がかかります。

鶏肉でも皮の部分を食べないとか言った気配りが必要になります。

魚介類は白身魚がお勧めです。

赤身は脂分ですからよくありません。

その他に野菜類をこまめに摂ることもよいでしょう。

胃潰瘍のためのレシピなどがインターネットなどに掲載されていますからそれを参考にしましょう。

糖尿病などのように強い制限をかける必要はありません。

日常生活の中で飲み過ぎ食べ過ぎにならないようにすればよいのです。

食事の欧米化によって肉類や油ものを取る機会が多くなっています。

それによって胃潰瘍になる人も増えてきたのではないでしょうか。




十二指腸潰瘍と胃潰瘍

体の消化器官として胃から十二指腸へとつながっています。

胃潰瘍という病気の同じ原因で場所が違うものが十二指腸潰瘍です。

ですからその発生メカニズムや症状などはほとんど同じと考えてよいでしょう。

胃の粘膜と十二指腸の腸壁はほとんど同じ構造をしています。

胃液によって胃に穴があくと胃潰瘍になりますし、十二指腸に穴があくと十二指腸潰瘍と呼ぶのです。

胃や十二指腸は非常にデリケートな臓器と言われています。

精神的あるいは肉体的なストレスが加わりますと、すぐに影響を受けてしまいます。

また、ある種の薬を飲むことによって粘膜の働きが阻害されることもわかっています。

そのような状況が続くと胃潰瘍や十二指腸潰瘍になるのです。
その他にもピロリ菌などが原因の場合もありますが、胃潰瘍と十二指腸潰瘍は同じ病気と考えてもいいのです。

潰瘍にならないようにするためには、規則正しい生活をするとか、暴飲暴食をしないとか、野菜をこまめに食べるなどがよいと言われています。

自覚症状があるのであれば、何らかの異常があると考えるべきです。

我慢しながらアルコールを飲むと言ったことは体にとって非常に悪いことです。

アルコールやたばこを控えて、規則正しく生活するようにしましょう。

また、何か異常を感じたならば早めに病院で検査をしてもらうことです。

胃潰瘍も十二指腸潰瘍も早期発見が一番です。

軽いうちであれば投薬のみでよくなってしまいます。

吐血などの症状が出る人はかなり悪化した時と考えてよいでしょう。


胃潰瘍治療薬

 胃酸など消化液は、口から摂取した食物を強力に消化します。仮に胃粘膜に防御因子が無ければ、胃粘膜といえじ無事ではすみません。防御因子が不十分な体制のときに胃酸で粘膜が攻撃されると粘膜は傷つけられます。

 胃潰瘍は、ストレスによって自律神経が正常に動かなくなり、消化液と胃粘膜の防御因子とのバランスが崩れる事が原因と考えられてきました。

通常、胃酸は食物が胃に入ったときに分泌されるのですが、空腹時などに分泌される事もあります。しばしば、空腹時での胃痛、胃酸分泌などがあり、食物を摂れば楽になるという症状も現れます。

 抗コリン剤は、胃の分泌を抑制し、胃の収縮を抑えます。市販の胃潰瘍の薬には、制酸剤と、痛みを抑えるために、ロートエキスなどがよく使用されています。

 胃潰瘍治療薬としての考え方には、胃酸を抑えるということと、胃粘膜の防御因子を増やすことの二つのアプローチとともに、精神的ストレスが原因と考えて精神安定剤の成分の物も開発され、自律神経安定剤も併用されます。

制酸剤 胃酸を抑えるものには、胃酸を中和するものと、胃酸の分泌を抑制するものがあります。一般的に制酸効果のある薬品については上述しました。ここでは、胃潰瘍治療薬(胃炎にも使用するものもあります)を紹介します。

H2ブロッカー従来、胃潰瘍治療薬は、胃酸をコントロールする薬をメインに開発されてきました。胃粘膜を攻撃するものが、主に胃酸であると考えられてきたからです。
 胃からの胃酸分泌をコントロールするものは、自律神経以外に、ヒスタミン、ガストリンなどのオータコイド(体内で少量で、大きな生理作用のある物質で、ビタミン、ホルモンでないもの)があります。
 ヒスタミンは、アレルギーなどときに遊離される伝達物質ですがアレルギーや免疫機能に関与するばあい、ヒスタミンの受容体はH1レセプターというのですが、胃にもヒスタミンの受容体があり、これをH2レセプターといいます。
 胃のH2レセプターにヒスタミンが反応すると、胃酸が分泌されます。そこで胃のH2レセプターにヒスタミンが結合するのを妨害する物質が考えられました。
 これがH2ブロッカーという胃酸分泌抑制剤です、H2ブロッカーは、現在胃潰瘍治療薬としてメインに使用されています。
 シメチジン(タガメットカイロックなど多数)、ファモチジン(ガスター)、塩酸ロキサチジン(アルタット)、ニザチジン(アシノン)、ザンタック(三共)などがあります。
 副作用としては、ショックなどのアレルギー反応、血小板減少、肝障害、便秘、下痢などがあります。

 副作用は、薬剤によって少し違います、頻脈、除脈など心臓に関するもの、女性化乳房、血液障害、幻覚、めまいなどの中枢症状、胃腸障害を起こすものもあります。しかし、抗ヒスタミン剤(H2ブロッカー)は8周以上の長期服用の場合が多く、外来患者の30%近くは胃炎、胃潰瘍であり、そのほとんどの患者に処方されていることを考えると副作用の確率は少ないといえます。

プロトンポンプ阻害剤 胃壁での胃酸分泌は、胃壁の壁細胞からプロトンチャンネルというところから、水素イオンが排出されます。また、プロトンチャンネルと同時に塩素チャンネルからも塩素が排出され塩酸となります。水素イオンの排出の代わりにカリウムイオンが壁細胞に取り込まれて電気的には平衡を保ちます。
 これをプロトンポンプといいますが、このプロトンポンプでは、水素イオンを壁細胞から外に出す酵素を阻害して、水素イオンが排出するのを妨害します。
 プロトンポンプ阻害薬は、最強の胃酸分泌阻害薬ですが、使用できるのは胃潰瘍で8週、十二指腸潰瘍6週までしか使用できません。それ以上の期間の使用は危険とされています。
 副作用は、ショックなどのアレルギー反応、血液障害や肝機能障害などの副作用があります。

抗コリン剤 コランチルなどにも抗コリン剤は配合(塩酸ジサイクロミン)されていますが、胃潰瘍ではあまり使用されなくなりました。胃炎では今でも使用されます。
 コリン作動性神経も、受容体は、アセチルコリン以外の薬物にも反応し、ニコチンに反応してムスカリンに反応しない受容体と、その逆の受容体があり、ムスカリンに反応する受容体をムスカリンレセプターといいます。ムスカリンレセプターを選択的に阻害すると胃酸を分泌抑制します。
 臭化チキジウム(チアトン)や、塩酸ピレンゼピン(ガストロゼピン)などがそれで、これらは、胃酸分泌を刺激するガストリンを抑制する事も知られています。
 副作用は、口渇、排尿困難、動悸などです。

防御因子増強剤 胃壁の防御因子を増強するもので、キャベジン、イサロン、ノイエル、セルベックス、など多数あります。口渇、便秘などの副作用があります。

ヘリコバクター・パイロリ(ピロリ)に対する治療。 従来は、上述のように、胃潰瘍はストレスが原因とするストレス学説が通説でしたが、胃潰瘍の再発率は高く、長時間かけても治療効果があがりませんでした。もちろんストレス学説にいわれるとおりの原因の胃潰瘍もありますが、ピロリ菌を除去することにより、再発率は1年で60%程度なのが10%未満にまで低下した事で、胃潰瘍はピロリ菌の感染症である場合が多いという事が分かりました。

 ピロリ菌は、アンモニアを作る酵素を出し、粘膜の防御機構を破り、胃酸も中和して、ピロリ菌自体が胃酸のある胃粘膜の上で生活できるようにし、またピロリ菌は粘膜溶解酵素も出し粘膜自体も溶かしてしまうといわれています。しかし、今のところ詳しい事は分かっていません。

 具体的に、ピロリ菌を除菌するには、抗生物質を使用します。また、胃内のpHを上げると、抗生物質の効果が上がり、ピロリ菌の活動を抑制するので、最も強力な胃酸分泌抑制剤であるプロトンポンプを併用し、抗生物質は大容量を2~3種類使用します。
 抗生物質は、アモキシシリン、クラリスロマイシンが使用されます。



胃潰瘍 市販薬・治療薬の違い

胃潰瘍の人は市販薬と治療薬の違いをきちんと理解して服用する事が潰瘍を早く治し再発させない事につながります。

薬の選び方や飲み方には、じゅうぶん注意しましょう。

市販薬と治療薬の違いは症状の緩和を目的としたものが市販薬で根本的な治療を目的としたものが医療薬になります。

十二指腸潰瘍は、まだ症状が浅いものに関しては本来人間が持っている自然治癒力の働きで胃の炎症や軽い潰瘍ぐらいであれば修復可能です。

しかし胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの潰瘍は深くなるにつれ市販薬では治らなくなります。

深い潰瘍はそのまま放置しておく危険です。

自然治癒が不可能になった潰瘍は医師のもとで適切な治療をしない事には完治しません。

お医者様が出してくれる処方箋をもとに作られた薬は市販薬とは成分に大きな違いがあるからです。

薬局等で売っている薬は、ただ胃を健康したり、消化を助けるものであったり胃酸を押さえたり胃の痛みを一時的に鎮めたり粘膜保護成分などが組み合わさった総合的なものになります。

しかし医療薬の場合は症状別にピンポイントに、それぞれの症状に合った薬だけを処方してくれます。

市販薬は胃のすべての症状全般を抑える成分が入っているので結果的に必要のないものまで、まとめて飲用する事になります。

例えば本当は胸焼けやゲップを抑えたいだけなのに胃の痛みを鎮める成分まで入っている感じです。

市販薬は誰でも安心して飲めて安全である事を常に重要視していますので医療薬に比べると控えめな成分設定になっていると言うわけです

スキルス胃がんは悪性度が高い

他のタイプと比べると、スキルス胃がんの悪性度は特に高く、生存率も低くなりがちです。特徴として早期発見が難しいことが挙げられますが、これは医の粘膜の表面に大きな変化を起こさないことが原因になっています。胃壁の中で広がっていくため、たとえ定期検診を受けていたとしても、見落とされてしまうことが多いのです。そのため、発見された時にはおよそ60%の方が転移しています。

転移はスキルス胃がんの治療法の選択肢を限定してしまうことがありますし、手術を行った場合でも再発の原因になってしまうことが多くなります。一般的には、早期胃がんなら治癒を目指すことができるのですが、すでに転移までしている状態では、話が変わってしまいます。診断としては、胃壁全体が硬くなってから見つかることが多くあります。

厄介なスキルス性ですが、主に30歳代と40歳代の女性に発症しています。この年代の女性は、あまり胃がんにかかることがないため、検診を受けていないことも多くあります。たしかに、検査をすれば確実に発見できるものではなく、見逃されてしまうことも多いのですが、やはりあきらめることはできません。毎年レントゲン撮影を続け、過去の写真と比較することによって、早期発見できる可能性も残されています。

生存率を高めるためには、手術のほかに化学療法を用いることで、残された癌細胞に対応することが一般的に考えられます。もちろん、個別に症状や転移の状態、患者さんの全身状態も考慮しなくてはなりません。現状として納得できるほどの成果が出せていないことが多いのですが、名医に診断してもらうことで、少しでも質の高い医療を望むこともできます。


進行性胃がんの症状と治療

胃の壁に深く浸潤しているものを進行性胃がんと呼びます。すでに早期の段階よりも悪化しているもので、中にはすでに転移を始めているものもあります。早期治療を行うことが治癒に結びつきますので、この段階になっているのであれば、予断を許さない状況であると言うことができます。

ちなみに、悪性度が高いスキルス胃がん進行性胃がんの一種です。スキルス性は通常の場合よりも発見が難しいのが特徴で、半数以上は診断を受けた段階で何らかの転移を始めており、女性の患者さんが多くなっています。

初期の時期には自覚できる徴候はほとんどないため、胃の不快感や食欲不振、吐き気、胸のもたれ、貧血、体重減少、貧血といった自覚症状が出る場合には、すでに症状が悪化している可能性が高くなります。浸潤や転移が進んでしまうと、手術によって治療するだけでは足りなくなることが多く、化学療法を組み合わせることもあります。治癒を目指す上で、最優先であるのは手術ですが、すべての癌細胞を摘出できるとは限らないため、残された癌細胞への処置として、抗がん剤を活用するのです。術後に行うほか、術前に用いる場合もあります。

進行性胃がんといっても、病期(ステージ)は様々で、2期以降のものを指しています。したがって、2期から4期まで幅があり、予後の見込みや生存率、治癒の可能性についてはそれぞれの患者さんごとに大きな個人差があります。早期ではないから絶望するのではなく、実際問題としてどの程度の危険が迫っているのか、正確に判定することが大切です。専門医とよく話し合って、今後のことについて考えていきましょう。


早期胃がんの症状と治療

胃の粘膜は5層に分類されており、内側から粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜下層、漿膜となっているのですが、粘膜や粘膜下層にとどまっているものを早期胃がんと呼び、筋層よりも深く浸潤しているものを進行性胃がんと呼んで区別しています。

当然ながら、浸潤が浅い方が初期症状に近い状態で、治療がしやすく、再発することなく良好な予後を期待することができます。手術によって治癒させる場合もありますが、より体への負担が小さくて済む内視鏡的治療によって病巣を切除することができる場合もあり、通常は入院期間も1週間以内です。回復が早いため、社会復帰をするまでの期間を短縮することができます。

もっとも、早期胃がんであれば必ず内視鏡的治療の適用になるわけではなく、原則として病変が粘膜にとどまっていて直径2cm以内の場合が対象となります。内視鏡的治療が行えない場合には手術を行いますが、この場合、再発は1割から2割の患者さんに見られます。転移が始まってしまうと、再発率が高まりますので、早期に発見・治療を行うことが大切です。

一般に、早期胃がんは無症状であると言われることが多いのですが、顕著な兆候ではなくても、みずおちのあたりに違和感を覚えることや、胃のもたれ、食欲不振を感じることがあり、こうした状態が継続することがあります。

小さな病巣に限局している場合には、内視鏡的治療で取り除くことができますし、手術にしても切除範囲を狭く設定し、術後の後遺症や機能障害を小さく抑えることができます。しかし、リンパ節へ広がっている場合には、手術の際に周囲のリンパ節を一緒に切除するリンパ節郭清を行わなくてはならなくなります。もっとも多く見られるのはリンパ節への転移ですが、範囲が狭ければ、手術で取り除いて治癒させることもできます。しかし、範囲が広がってしまうと、手術では対処できなくなり、治癒が困難になります。

早期胃がんの病巣は、わずかに盛り上がっているか、くぼんでいるだけです。さらに詳しく分類すると、隆起型、表面隆起型、表面平坦型、表面陥凹型、陥凹型に分けられます。進行の仕方が違うため、これらの分類がされています。浸潤が進んで進行性になってしまう前に治療を行うことが大切です。


胃がん治療中の食事 治療効果のある食事

胃がんの治療中には、どのような食事を摂れば良いのでしょうか。


治療の効果をあげるためには、少しでも体力をつけ、免疫力を低下させないようにすることが大切です。

そのためには、できるだけ色々なものを食べ、バランスの良い食事を心がけましょう。


まず、エネルギー源である穀物は、退院直後であれば、おかゆや軟らかいごはん、トーストしたパン、うどんが食べやすい食品です。

退院して、しばらくたった頃になると、そばやマカロニなども、食べることができます。

そして、退院3カ月を過ぎると、スパゲティーやお寿司、赤飯やラーメンも少量であれば、食べても構いません。


次に、たんぱく質である魚や肉、豆製品は、

退院直後の場合、白身魚、かき、はんぺんがお勧めです。

そして、ペースト状のレバーや、ほぐしたささみ、

豆腐や豆乳も食べやすいでしょう。

しばらくして食事が安定してくると、エビやつみれ、

赤身のひき肉、納豆や湯葉も食べられます。

退院後三カ月過ぎた頃には、イカやタコ、牛肉、

油揚げやがんもどきなどを食べても、問題がありません。


最後に、ビタミン、ミネラル類に関しては、

退院直後の場合、野菜は、皮をむいて軟らかく煮て食べると、

人参や大根、かぼちゃやホウレンソウでも、

食べることができます。

果物は、缶詰やコンポート、

ジュースにすることをお勧めします。

そして、しばらくして体が慣れてくると、

トマトやキュウリ、レタスなども食べることが可能です。

また、退院して3カ月を超えると、ブロッコリーやキャベツ、

のりやわかめも、少量であれば構いません。


このように、エネルギーのもとになる穀物やたんぱく質、

ビタミン、ミネラルを中心に、消化の良いものから順に食べていくと、

不快な症状も起こしにくくなります。

焦らず、ゆっくりと体を慣らしていきましょう。


胃がん治療中の食事 食事の注意点

胃がんの治療中には、どのような点に気をつけながら食事をすれば良いのでしょうか。


まず、穀物については、おかゆから始め、少しずつ慣らしていく必要があります。

うどんなど、麺類でも食べやすいものはありますが、早食いをしてしまうことがあるので、ゆっくり食べるように気をつけましょう。


たんぱく質については、魚介類の中では、貝類は消化に悪いので、できるだけ避けるようにします。


そして、肉類であれば、脂肪分の多いベーコンやバラ肉、ハム、コーンビーフなどは、しばらく食べないように気をつけましょう。

また、調理をするときには、焦げないように、火の通し方に気を配ることが大切です。


豆類に関しては、大豆そのものは消化が悪いので、豆腐や納豆などを、良くかんで食べるようにすると安心です。


乳製品や卵などのたんぱく質は消化が良いので積極的に摂っても良いのですが、最初のころは調理をするときに、油を使わない料理にすることをお勧めします。

これらの乳製品や卵は、デザートでも食べやすいので、間食の時に、摂取する方法も良いでしょう。


野菜や海藻類に関しては、繊維が多く含まれていて、消化はあまりよくありませんが、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいるので、調理法を工夫して、できるだけ食べるようにしたいものです。軟らかく煮たり、皮をむいたり、細かく刻むなどの手を加えて食べやすくしてください。


このように、栄養素別にいくつかの注意点があります。その点に気をつければ、治療中であっても、比較的色々なものを食べることができます。

さまざまなものをバランスよく食べ、力をつけて治療に臨みましょう。


胃がん治療中の食事 調理法

それでは、どのような調理法をすれば、食べやすくなるのでしょうか。

とくに、手術後間もない頃には、消化の良いもを食べたり、消化を良くする工夫が大切です。


消化不良を避けるためには、刻む、裏ごしをする、つぶす、すりおろす、ミキサーにかける、煮るなどの方法が、食べやすくなります。

なかでも、消化の良いメニューとして、お勧めのものが、いくつかあります。


まず、ロールキャベツをお勧めします。この料理は、キャベツが胃腸を丈夫に保ち、ひき肉は柔らかく煮込むので、食べやすくなっています。


そして、マカロニグラタンや、牛乳なべなどの乳製品をつかった料理も、消化が良いので、メニューに取り入れてみてください。

その時は、ホワイトソースを柔らかめにつくることで、さらに、消化がよくなります。


また、鶏レバーの串焼きは、鉄分やビタミンが豊富で、消化の良いメニューです。

レモンをかけて食べると、さっぱりして、より食べやすくなります。


その他、山かけを使った料理や、つみれ、卵とじなども柔らかく、食べやすい料理です。


そして、味付けは、全体的に薄味にしましょう。

強い甘みや、塩分は胃壁に刺激を与えてしまいます。

ですから、できるだけ避けるように心がけてください。


このように、患者さんが食べやすくなるように調理し、消化の良いメニューを取り入れると、術後に出やすい症状を、緩和することも可能です。


胃がん治療中の食事 必要な栄養素

胃がんの治療中は、どの栄養素を、どれくらい摂取すればよいのでしょうか?


胃がんの治療中といっても、手術前と手術後、また、退院してからと、状況によっても、必要なエネルギー量は異なります。


しかし、体にとって良い食品の選び方や、必要な栄養素は似通っています。

ですから、必要に応じて、それぞれの栄養素を摂取するときの参考に、役立てていただければと思います。


まず、ごはんやパンといった穀物はエネルギーにもなり、体温を保つためにも必要な栄養なので、三度の食事にはできるだけ主食として取り入れましょう。


そして、魚や肉、豆腐などの良質のたんぱく質は、傷を治したり、体力の回復を手助けしてくれます。ですから、献立には積極的に取り入れるようにしましょう。

その際、牡蠣以外の貝類は消化が悪いので、避けるようにしましょう。

また、練りものや干物は塩分も高めなので、やめておいた方が無難です。


肉類に関しては、脂肪分の多いベーコンやバラ肉、ハムなどはしばらくは控えておきましょう。


そして、牛乳や卵といったたんぱく質は、消化も良いので、積極的に食事に取り入れるようにしても大丈夫です。


その他、野菜や海藻類については、ビタミンやミネラルの補給ができます。

ごぼうやタケノコ、セロリなどの繊維が多い野菜については、消化があまりよくないので、細かく刻んで使うようにしましょう。

そして、繊維質の多い海藻については、少量のワカメやのりは構いませんが、昆布やヒジキはしばらくやめておくことをお勧めします。


このように、健康体であれば良さそうなものでも、消化の良くないものもあります。ですから、胃に優しいかどうかに気を配りながら、必要な栄養素を摂るように心がけましょう。


胃がん治療中の食事 おススメの食材

それでは、胃がんの治療中におすすめの食材とは、どのようなものがあるのでしょうか?


まず、ごはんやパン、麺類といった穀物は、力のもとになるので、主食としてお勧めです。

しかし、おかゆや麺類などは、あまりかまずに食べてしまうことがあるので、意識してゆっくり食べることが必要です。

ただし、穀物の中でも、お赤飯やラーメンは、しばらく控えた方が無難です。


そして、魚や肉類、大豆製品などのたんぱく質は、体力の回復にも貢献してくれます。

できることなら、1日あたり70から80グラムのたんぱく質を、摂取することをお勧めします。

しかし、同じものばかりから摂ると、栄養が偏ってしまうので、さまざまな食品から摂るように心がけましょう。

魚は、脂肪の少ない白身魚を使います。

肉類も、脂肪の少ない赤身を摂取しましょう。

鶏肉の場合であれば、ささみのような脂肪が少ない部位を選びます。

その他、レバーは消化も良く、貧血予防にもなるので、積極的に摂りたい食品の1つです。


牛乳や卵は、消化も良いので、毎日とっても構いません。

ただし、牛乳は、満腹感があるので、間食に飲む方が良いでしょう。


野菜、海藻類においては、繊維質の多いものは消化が悪いので、手術後などは避け、症状が落ち着いてからにすることをお勧めします。

果物に関しても、繊維質が少なく、やわらかいものから食べることが大切です。

とくに、体の調子が回復していない時期は、

加熱したコンポートやももの缶詰などが最適です。


このように、胃がんの治療中に関しては、消化の良いものを中心に、ゆっくりよくかんで食べることが大切です。

食事時間をたっぷりとって、ゆとりをもって食事をしましょう。


胃がん治療中の食事 健康食品

それでは、胃がんに効果的なサプリメントとは、どのようなものがあり、どのようなものを選べばよいのでしょうか。


胃の手術後には、胃を切ったために、胃の働きが悪くなり、いくつかの症状に悩まされることがあります。

代表的な症状として、鉄分や葉酸、ビタミンが不足することにより、貧血をおこしてしまうことがあります。


そして、カルシウムの吸収が悪くなったり、ビタミンDの吸収障害が起こることもあります。

その結果、長期的にみると、骨の障害を引き起こすことにもつながります。

このような、症状を緩和する為にも、必要な栄養を摂る必要があります。


そのためには、バランスの良い食事を摂ることが大切です。

しかし、それだけでは、必要な栄養を全て摂取するのが困難な面もあります。


そこで、時としては、サプリメントによって、食事だけでは十分に摂れない栄養を、補助的にとることは、効果的です。

しかしながら、なかには、効果の感じられないものや、かえって有害なものもあり、選ぶ際には注意が必要です。


まず、化学合成品は避け、天然成分のものを選びましょう。

そして、同じ成分からできていても、商品によって、成分のとれた産地や、成分の含まれる量など、情報提供がはっきりしているものを選択しましょう。


胃がんの患者さんの中には、術後不足しがちな鉄分やビタミン、カルシウムなどの成分を、サプリメントで補給されている方もいらっしゃいます。


このように、サプリメントを選ぶ際に、良質なものを選択することができれば、必要な栄養を摂るために有効な方法です。


胃がん治療中の食事 化学療法中の食事

化学療法中の食事は、どのようなものを食べれば良いのでしょうか。


化学療法を行うと、患者さんは、さまざまな副作用に悩まされることが考えられます。

患者さんの状態によって使用する薬も異なり、また、体質によっても副作用の現れ方は様々ですが、

なかでも、主な症状としては、食欲減退、吐き気、嘔吐、脱毛などの症状があらわれます。


そして、化学療法中は、白血球が減少して、感染を起こしやすくなったり、血小板が減少して出血しやすくなることも考えられます。

また、赤血球が減少して、貧血を起こしやすくなる場合があります。


このような状況のなかで、どのような食事をすれば良いのか、果たして食事を楽しむことができるのか悩みます。

そこで、少しでも症状を緩和し、食べやすいお勧めの食材をいくつか紹介します。


まず、吐き気がある時は、生姜がお勧めです。

生姜には、殺菌効果や、吐き気を抑える作用があります。

梅やエンドウ豆、にら、みかんなどにも、吐き気に対して、同様の効果があります。


そして、食欲がない時は、酸味をきかせたり、料理に香りをつけることも効果的です。

特に、ゆずやレモンといったさわやかな香りは、食欲をそそることでしょう。


また、貧血気味の時は、鉄分の多い牛や豚、鶏のレバーがお勧めです。


その他、血液をつくるために必要なビタミン、ミネラルを多く含む食品には、卵や乳製品、サバやイワシなどの魚類、野菜や果物でいえば、かぼちゃやブロッコリー、バナナやキウイフルーツ、イチジクなども効果があります。


このように、副作用によって、さまざまな症状があり、食事をすることも、苦痛に感じる場合があると思いますが、少しでも食べられる物を食べて栄養を摂り、体力をつけるようにしましょう。


胃がん治療中の食事 末期がん患者の食事

末期がんになると、治療の副作用で、吐き気や味覚の変化、下痢、便秘などの症状がおこり、食欲がなくなることがあります。

また、体力がなくなって、抵抗力が低下すると、口内炎ができたり、飲み込み辛くなったりします。

このように、末期がんでは、食事も固形物、流動食、水分の順に、口から食べることも難しくなってきます。


そのような場合、点滴を受けたり、中心静脈栄養法や経管栄養法などから、栄養を摂る方法もあります。


しかし、できることなら、少しでも食事を摂れるようにしたいものです。

そこで、患者さんが食べやすいように、食事の際に、少し工夫をしてみることをお勧めします。


まず、冷たいものは食べやすい傾向があります。冷めても、おいしく食べられるようなメニューを考えてみましょう。


そして、口内炎があることによって食べ辛い場合は、できるだけ、歯磨きやうがいを頻繁に行うようにします。

こうすることで、粘膜の荒れを予防することが可能です。


また、嚥下障害がある場合は、食材を細かく刻んだり、とろみをつけると食べやすくなります。

プリンやゼリー、茶碗蒸しなども食べやすいので、お勧めの食品です。


このように、末期がんになると、食事をすることさえ困難になります。

しかし、食事は、栄養補給だけでなく、生活の楽しみの1つでもあります。

できるだけ、患者さんが食事をしたいと思える環境作りをしてあげましょう。


胃がん治療中の食事 食事指導

胃がんの場合、健康だったときと比較すると、食生活が大きく変化するため、手術後や退院時期になると、多くの病院では、食事指導が行われます。


ですから、退院後の食生活に対して、不安を感じている人や、わからないことがある人は、しっかり聞いておくようにしましょう。


病院の食事指導は、その時点の患者さんの状態によっても異なりますが、主に食事の回数や、食べるときの注意点などについてお話があります。


まず、胃の手術後は、一度に食べられる量が減っているので、食事回数を増やすことになります。

その場合、3食に加え、10時や3時の間食で補うことをお勧めします。


そして、胃を全摘出した場合は、胃の働きがなくなるため、ダンピング症状という低血糖が起こります。

それを防ぐためには、ゆっくり唾液と混ぜ合わせながら食べることが大切です。


そして、水分を摂り過ぎないようにしましょう。水分で流し込みながら食事をすると、胃に負担がかかります。


また、食後は食べたものが逆流しないように、上半身を少しあげた状態で、休むことをお勧めします。


このように、食事の摂り方に関しては、今までと同じというわけにはいかないので、しばらくは、気を配る必要があります。


食材に関しては、栄養のバランスがとれていて、消化の良いものであれば、好きなものを食べても構わないという指導がされています。


しかし、術後はすぐに満腹感を感じ、少しでも食べ過ぎてしまうと気持ちが悪くなったりするので、思うようには食べられないかもしれません。


しかし、胃のない生活であっても、体も徐々に慣れてきて、時が来れば、食事を楽しめるようになることでしょう。


胃潰瘍

胃潰瘍の症状は、上腹部の痛みと吐血・下血に注意みずおちを中心とした上腹部に、痛みが起こります。

胃潰瘍の痛みの程度は人のよって違います。強くさしこむような痛みを感じる人もいれば、おなかが張ったような痛み(膨満感)の場合のあります。

痛みは食事と関係があり、胃潰瘍の場合は、空腹時か食後30分ほどしてから、十二指腸潰瘍の場合は、空腹時か食後2~3時間後、あるいは夜間に痛みが出ます。特に十二指腸潰瘍では、空腹時や夜間に痛む場合が多いです。

こうした痛みは、食事をするといったんおさまります。胃潰瘍の原因は、胃酸の消化作用によって、自分の粘膜が攻撃されるためにおこります。

胃粘膜を守る働き(表面上皮と粘液)と胃粘膜を攻撃する力(胃液中の胃酸やペプシン)のバランスがくずれ、攻撃側が優位になった状態によるものです。

また、胃潰瘍の70~90%でヘリコバクター・ピロリ菌が発見されています。

胃ポリープ

胃ポリープには、特有の自覚症状はありません。

ほとんど無症状で、検診や人間ドックのエックス線や内視鏡の検査で偶然に発見されます。

大きくなった過形成性ポリープは、まれに消化管出血の原因になります。

胃底腺ポリープは、萎縮の少ない胃酸分泌が盛んな胃粘膜に多く発生することから、上腹部痛、胸やけ、しゃっくりなど過酸症状がおきることがあります。

胃下垂

胃下垂とは、胃全体が正常な位置より下のほうにある事をいいます。

胃がもともとある位置の下まで垂れ下がり、ひどい時はへそのあたりまで落ち込むこともあります。

胃アトニーは、胃下垂が原因で胃の筋肉がたるみ、胃の動きが悪くなることです。胃下垂は、症状がなければ特に問題ありません。

胃下垂に胃炎や胃アトニーなどが加わると、胃もたれや膨満感などの不快な症状を起こしやすくなります。胃下垂には、細く痩せた体質の人に人が多くいます。

また、いつも胸部と上腹部を圧迫している人、太っていたがある原因で急に痩せた人、過度に発育した女性なども、胃下垂になりやすいといわれています。

胃炎

一般に、胃炎は慢性胃炎を指します。

胃炎は、40歳以上に多く見られる胃腸の病気です。

胃炎は、胃粘膜の表面に炎症が起こる「表層性胃炎」、胃粘膜が萎縮して薄くなった「萎縮性胃炎」、萎縮した胃粘膜の一部が盛り上がる「肥厚性胃炎」の3種類に分けられます。

胃炎の特徴的な症状は少なく、みぞおちの痛み、食欲不振、食後の膨満感、胸やけ、げっぷ、悪心、嘔吐などが多年にわたって持続しますが、症状がまったく出ず、胃の検診などで発見されることもあります。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群の症状は、便秘や下痢を数カ月以上の期間にわたって繰り返している人で、便秘や下痢に際して腹痛や腹部不快感があり、排便があると症状が落ち着く時、そして、腸の検査や血液検査で便秘や下痢の原因になりそうな異常所見がみつからないものをいいます。

一般的な検査で、腹痛や便秘、下痢の原因となるような病変あるいは血液検査の異常を確認できず、ストレスで悪化することがあることから、ストレスが大きな影響を及ぼしていると考えられます。

胃酸過多

胃酸過多は、胃液の分泌が多すぎることでおこります。

胃酸過多は、胃腸の病気というより、ある種の症状ととらえています。

胃酸過多は、食べすぎや睡眠不足、過労など胃の負担をあたえることでおこります。

慢性胃炎、食道裂孔ヘルニア、胃・十二指腸潰瘍などの胃腸の病気も原因となります。

胃酸過多の症状は、胸やけ、げっぷ、胃もたれ、胃の痛みなど酸の多い症状がみられます。

胃もたれ

胃もたれや吐き気は、日常的に多くの人が経験する胃腸の症状です。

お酒を飲んだ翌日や、疲れやストレスがたまっているときなどに、おこります。

まず、胃がどのような働きをしているかというと、胃液を分泌する、胃液と食べ物を混ぜ合わせ消化するなどいろいろな働きがあります。

この胃の働きが低下して、胃もたれや吐き気など胃の不快感の原因となります。

この場合は、生活習慣を見直し、胃に負担のかからない生活を心がけるようにします。

胃の薬

胃の痛みを抑えるには、胃酸の過剰な分泌を抑えることが必要となります。

市販されている胃薬で、胃酸の分泌を抑えるものには、2つあります。

1つは、制酸薬といって、胃酸を中和されるはたらきがあります。

制酸薬の効果はそれほど強くありませんが、副作用もほとんどありません。

2つめは、H2ブロッカー胃腸薬です。テレビコマーシャルなどで、耳にしたことがあるこもしれませんが、このH2ブロッカー胃腸薬は、胃酸を分泌する命令系統を妨げて、胃酸が分泌されるのを強力に抑える薬です。

従来は医療機関で処方されていましたが、最近は、市販の胃腸薬としても販売されるようになりました。

胃の痛みの軽いときは、制酸薬でもよいのですが、症状が強いときは、H2ブロッカー胃腸薬をのむようにします。

ただし、H2ブロッカー胃腸薬は、効き目が強力なだけに、副作用には注意が必要です。

購入の際には、薬剤師のかたとよく相談するようにします。H2ブロッカー胃腸薬を使っても、症状がとまらない、あるいは、また繰り返すといった場合は、医療機関を受診するようにします。

ピロリ菌の除菌はどのように行う

抗菌薬などを服用しピロリ菌を排除します


 ピロリ菌の除菌は、薬を服用して行います。除菌療法で用いられている薬は、胃酸の分泌を抑える「プロトンポンプ阻害薬」と、抗菌薬の「クラリスロマイシン」、「アモキシシリン」です。この3種類の薬を1日2回、7日間続けて服用します(1次除菌)。その4週間後以降に除菌に成功したかどうかを検査し、除菌できていなかった場合には2次除菌が行われます。

 現在は、1次除菌での成功率は75~85パーセントです。除菌がうまくいかない人に多いのは、ほかの病気でこれらの薬を使用したことがあり、薬に対する耐性菌(抵抗力のある菌)を持っているケースです。この場合、2次除菌はほかの薬を用いて行います。

 除菌療法中は薬の副作用により軟便、下痢、味覚異常といった症状が起こることがありますが、そのほとんどは程度が軽く、除菌療法が終了した後には消失します。ただし、湿疹や血便が現れた場合はすぐに医師に相談してください。

 なお、除菌判定検査の精度はかなり高くなっていますが、できれば除菌療法の1年後くらいにもう1度検査を受け、完全に除菌できているか確かめると安心です。



胃の良性腫瘍

どんな病気か
● 胃にポリープ、腺腫、筋腫、線維腫などの良性腫瘍ができる病気である。
● 腺腫性ポリープと筋腫のできる場合が多い。
● 胃の良性腫瘍は胃の全腫瘍のうち、生前に気づかなかったものは10~20%で、治療の必要なものは1~2%ときわめて少ない。

 症状
● 貧血、出血、閉塞などの症状がおきる。
● しかしふつうは症状をうったえないで胃のレントゲン検査をして偶然発見される場合が多い。

 治療
● 胃ポリープの場合は良性のものと悪性のものとがあり、その鑑別が困難の場合が多い。
● 悪性の疑いのあるものは外科的手術を行なう。
● 良性と思われるものでも、レントゲン、内視鏡、細胞診で注意深く経過をみて、少しでも悪性化の疑いがあったら手術した方が安心である

胃の環境を示すpH値

ペーハー(pH)とは、酸性やアルカリ性の度合を表す“ものさし”だと考えます。胃の場合、酸性が強いと、たんぱく質を分解する酵素がよく働き、雑菌を殺す作用も強くなりますが、一方では、ちょっとした胃の粘膜のキズでも、強い酸性の胃酸がそこに入り込んで胃壁を溶かしてしまいます。

胃内がアルカリ性側に傾いていると、粘膜には優しいかわりに、殺菌する力が弱くなってしまい、その上、人の持っている胃の中の消化酵素というのは酸性が弱いと働かず、消化作用が落ちてしまいます。

また、ペーハーは変化し易く、起きているときと寝ているとき、食事の前と食事の後、食事の内容によっても変わりますし、精神的ストレスによっても変化するのです。胃腸のトラブルを考えるうえで大切なことは、胃という臓器が極めてデリケートにできているということなのです。


胃にやさしい食べ物リスト

胃の病気の治療の基本を一言で言えば、胃に負担をかけない食事です。

負担をかけないというと「おかゆと梅干」などが浮かびますが、慢性胃炎では逆効果です。むしろ十分な栄養を補充する必要があります。

食事のポイントとしては3つあります。
1. 栄養バランスに富んだ 消化しやすい物を摂る
2. 毎日規則正しい時間に食べる
3. 腹八分目

胃にやさしい食品

食べてよいもの なるべく避けたいもの

タンパク質食品
牛乳、ヨーグルト、チーズ、ミルクゼリー、プリン、ババロア、ブラマンジェ
半熟卵、いり卵、ポーチドエッグ、卵豆腐、茶碗蒸し、オムレツ
鶏肉(皮なし)、ひき肉、脂の少ない肉
ヒラメ、カレイ、生ザケ、すり身、脂の少ない魚、しらす干し、カキ、はんぺん
豆腐、凍り豆腐、納豆、湯葉、きなこ、やわらかい煮豆、裏ごし豆

糖質食品
やわらかいごはん、パン、うどん、冷や麦、そうめん、はるさめ、ジャガイモ、里芋、大和芋、さつまいも(皮むき)
アイスクリーム、シャーベット、ウエハース、ビスケット、カステラ、カスタード

脂質
バター、マヨネーズ(少量)、生クリーム、サラダ油(少量)、オリーブ油(少量)

野菜
大根、かぶ、とうがん、にんじん、ゆり根、白菜、かぼちゃ(皮むき)、なす(皮むき)、トマト(皮むき)、ほうれん草、春菊、小松菜、キャベツ、玉ねぎ、レタス、カリフラワー、ブロッコリー、生わかめ(やわらかいところ)、野菜ジュース

果物
りんご、バナナ、桃、イチゴ

嗜好品
サケそぼろ、でんぶ、のりの佃煮、麦茶