ピロリ菌が発見されてから、胃の不快感の原因が明確になってきました。
胃壁の表面を覆う粘膜に炎症が起こる胃炎は、ピロリ菌がいるとほぼ発症します。
食欲低下や胃もたれがする程度、もしくは何も変化を感じないなどというように自覚症状に差がありますが、ピロリ菌で胃炎になる確率は約80%です。
胃は食べ物の消化をするために、強酸性の胃酸を分泌していますが、その胃酸から守るため、胃壁を常に粘液で覆っています。
しかし、胃を守る粘液がピロリ菌の出す酵素で減らされ、粘液が不足すると胃壁を守り切れず、胃炎や胃痛の後に潰瘍ができてしまいます。
胃酸を減らす胃酸分泌抑制薬での治療もできますが、長期間飲み続けなければならないですし、原因がピロリ菌ですので再発しやすいです。
胃潰瘍と十二指腸潰瘍の人はほぼピロリ菌に感染しています。仮に潰瘍は放置しても自然に治ることもありますが、再発する確率は72%と高いです。
胃酸分泌抑制薬で治療した場合では25%まで減りますが、ピロリ菌の除菌すると80%以上の人が完治し、再発率も2%までに減るので、日本医師会でもピロリ菌の除菌を推奨しています。
胃がん患者の胃には100%ピロリ菌が存在する
ピロリ菌による一定の持続的な刺激は、胃がんが原因になり得るとされています。
健康な胃で胃炎が起こり、胃潰瘍ができて、胃がんへと変わっていきます。
ピロリ菌の検査が陽性と陰性の2グループに分けて、8年間経過を観察したところ、陽性の人2.9%に胃がんが発生しましたが、陰性の人は0%でした。
その他の消化管の病気もピロリ菌と関係しています。
胃壁の粘膜下にできる悪性度の低い腫瘍である胃リンパ腫、胃のポリープもピロリ菌が原因であることが多いです。
消化管以外に起きる病気では詳しい原因は解明されていませんが、血小板減少性紫斑病や慢性じんまじん、鉄欠之性貧血もピロリ菌の除菌で改善することがあります。
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