胃がん治療後の生活:貧血と骨粗鬆症の対処法

手術後、数年経ってからあらわれる後遺症に、貧血や骨粗鬆症などがあります。食事のとり方は自分で改善することができますが、これらの症状にいたっては、病院で適切な治療を受けなければならない場合もあります。


貧血への対処法

■貧血の症状
貧血とは、血液中の赤血球の数やヘモグロビンが減っている状態をさします。軽い貧血の場合は自覚症状はほとんどありませんが、症状が重くなると、動悸、息切れ、頭痛、めまい、食欲不振、吐き気、呼吸困難などがみられるようになります。

■必要な栄養素
赤血球の生産には、鉄やビタミンB12などの栄養素が必要になりますが、胃を切除(全摘出)したことにより、吸収効率が悪くなり不足しがちになってしまいます。

貧血と分かったらビタミンB12を年に数回注射します。また鉄分の多い食品をとりましょう。レバー、海藻類、緑黄色野菜などがあります。造血剤を使用して、血液をつくるための成分を服用する方法もあります。



骨粗鬆症への対処法

■骨粗鬆症の症状
骨の密度が低下して、もろくなった状態が骨粗鬆症です。胃を切除した影響で、カルシウムの吸収効率が低下していることも要因となっています。そのため骨の変形、痛み、骨折などが起こりやすくなります。


■骨粗鬆症の対処法
・適度な運動をして、筋力を保つようにします。
・カルシウムの多い食品を活用していきます。(乳製品など)
・カルシウム剤や吸収を助けるビタミンDなどを服用・注射します。



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胃がん治療後の生活:胸やけなど不快な症状

胸やけがする
食道が痛む
苦い水が上がってくる
このような不快な症状の原因は逆流です。

胃の出入り口の機能が低下しているために、胆汁などの十二指腸の内容物が、胃の中に逆流してしまいます。


逆流の2つのタイプ

��.幽門を残した形式の手術後に生じる、胃酸などの内容物の逆流です。症状は軽めですが、就寝中に起こると飛び起きてしまう場合があります。9割以上は2~3年で胃の機能がほとんど回復します。


��.胃の幽門を切除した場合や胃の全摘で生じるもので、主に胆汁が逆流してきます。こちらはアルカリ性で、症状がかなり強烈になります。

肺に吸い込んだ場合、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性もあり、高熱が出ることがあります。新たにがんが発生する危険性もあります。

逆流への対処法逆流は、主に寝るときに起こるので、就寝中の姿勢などに気をつけましょう。


●飲み物を用意しておく
逆流が起こったときのために、そばに水やお茶などの飲み物を用意しておきます。内容物を洗い流しましょう。

●上体を高くして寝る
上半身を少し高くして寝れば、重力に逆らって逆流してくる心配はありません。高さの調整には、布団の下に毛布や座布団などをはさんでおけばよいでしょう。
また、ギャッチベッドも効果的です。ギャッチベッドとは、福祉用具の特殊ベッドの事で、背上げ・膝上げ・高さ調整等が可能になります。

●就寝直前には食べない
食べてすぐ寝ると、就寝中に消化が進み、分泌液が増加します。そして、逆流が起こりやすい状態になってしまいます。油分の多い食事も、胆汁の分泌を増加させます。食後は少なくとも2時間は起きていましょう




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胃がん治療後の生活:腹痛・便秘、腸閉塞の対処法

手術後、傷が治るまでの過程で、腸の癒着が生じることがあります。癒着とは、炎症などにより、本来離れているべき組織同士がくっついてしまうことをさします。

腸の場合、腸管が曲がりくねっているので、隣接している腸管や腹膜などにくっついてしまうことがよくあります。すると、腸管が折れ曲がったり、ねじれたり、締め付けられるようになります。

癒着した部分は、詰まりやすいことも挙げられます。繊維質のものを多く食べたときは、消化しきれずに残ったものが、狭くなった部分にひっかかって、流れを止めてしまうこともあります。

たまった内容物の圧力と、流そうとする腸の運動によって、腹痛をもたらします。腹痛にも感じ方はいろいろありますが、きりきりとしたような痛みがあるのが特徴です。また、流れが止まってしまっているため、腸の内容物が戻ってきて、吐き気や嘔吐をするようになります。

腸の癒着は、便通にも影響を与えます。そして、腸閉塞も引き起こすことがあります。


腸閉塞への対処法

手術後の腸閉塞の原因は、ほとんどが腸の癒着です。まれに、再発したがんが大きくなって、腸を圧迫する場合もありますが、まずは腸の流れを滞らせないように心がけましょう。

食べたものが腸にひっかかりやすくなっているので、よく噛んで食べるようにしましょう。便秘がちな人は、薬などを使って、便通をよくしましょう。体を適度に動かすことも大切です。

無理に食事を摂るのも控えましょう。お腹の調子が悪いときは、水分をとって様子を見ます。

腹痛とともに吐き気があり、嘔吐したような場合は、血行障害とともに腸閉塞が起きていると考えられます。その際は、すぐに病院で手当を受ける必要があります。



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胃がん治療後の生活:胃切除後の胆石

胆石とは、胆嚢にたまった胆汁の成分が固まってできた結石です。胆嚢には、胆汁をためておき、必要に応じて圧縮したり放出したりする働きがあります。

【胆汁ができる流れ】

・肝臓で胆汁がつくられる。
 ↓ 
・食事により、胆汁の分泌を促すホルモンが出る。肝臓から大量の胆汁が放出される。
 ↓
・胆汁が脂肪分の消化吸収を助ける働きをする。
 ↓
・胆汁のほとんどは腸から再吸収されて、再び肝臓に運ばれる。
 ↓
・胆汁の一部は、便として排出される。


【手術による影響】
胃がんの手術をした影響で、胆嚢の動きにかかわる神経が切断されて、胆嚢の働きが鈍くなります。すると、飲食物が十二指腸を早く通り過ぎてしまうため、ホルモンの分泌が不十分になります。

その結果、胆嚢の収縮力が低下し、胆汁がたまったままになります。このまま濃縮がすすむと、胆石ができてしまいます。

広い範囲のリンパ節郭清をおこなって、胆嚢の神経を完全に切った場合には、胆石ができる可能性も高くなります。そのような場合に備えて、あらかじめ胆嚢を摘出してしまうこともあります。

胆石があると、激しい腹痛の他に、胆嚢炎、黄疸、急性膵炎などを起こす場合があります。症状がなければ、治療をする必要はありません。

腹痛や発熱、黄疸などの症状がみられる場合は、胆嚢の摘出手術を考えることになります。再度、開腹手術となることもあります。なお、胆嚢がなくなっても、生活にはとくに支障はきたしません。




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胃がん治療後の生活:再発

胃がん手術後の患者さんの約30%に再発が起こるとされています。再発を予防するために、治療時にはがん細胞があると考えられるリンパ節を郭清したり、化学療法などで消滅させたりしていきます。


再発の時期

胃がんの再発については、はっきりと予測することはできません。手術後数ヶ月でみられる場合や、数年後になってやっとあらわれるものもあります。

再発のほとんどは手術後5年以内ということがわかってきました。5年を過ぎてから発見される再発は10%以下ということもわかっています。



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手術を受けてから5年間は、定期検査を受けて再発がないかをチェックする必要があります。


再発が起きやすい部位

胃がんの再発が起きやすい部位は、腹膜と肝臓です。その他には、リンパ節、肺、骨、胸膜、脳、髄膜などにもみられます。

腹膜再発は、全体の約半数を占めています。なかでもスキルス胃がんで頻度が高いとされています


胃がん治療後の生活:日常生活、定期検査

まずは、毎日の暮らしを充実させて、不安を取り除くことが、再発防止への手がかりになります。

【がんを防ぐための12か条】
1.バランスのとれた栄養をとる
2.毎日、変化のある食生活を
3.食べすぎをさけ、脂肪はひかえめに
4.お酒はほどほどに
5.たばこは吸わないように
6.食べものから適量のビタミンと繊維質のものを多くとる
7.塩辛いものは少なめに、あまり熱いものはさましてから
8.焦げた部分はさける
9.かびの生えたものに注意
10.日光に当たりすぎない
11.適度にスポーツをする
12.体を清潔に


定期検査で早期発見・早期治療

胃がんに対して有効な抗がん剤も開発されているので、早期に発見すれば治療できる可能性が高まっています。そのためには定期的に通院・検査をして、再発への備えをし、早期発見すれば、それだけ治療法の選択の範囲も広がり、負担も軽減されます。

一般的には、手術後2~3年間は3~6ヶ月ごとに、そのあとは5年を過ぎるまでは半年ごとに診察と検査を続けます。

身体所見
視診で貧血や黄疸の有無を調べます。触診では腹部の張り、しこりの有無、鎖骨のリンパ節の腫れを調べていきます。

腹部CT検査・超音波検査
肝転移やリンパ節転移がないかを調べていきます。

血液生化学検査
血液検査では、栄養状態と貧血について調べます。
また、腫瘍マーカー(がん細胞が作り出した特徴的な物質)を測定することで、体内のがんの状態を推定することができます。

腫瘍マーカーが異常値を示していても、必ずしも再発が起きているとは限りません。



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胃切除後の食事の注意ポイント:後遺症

開腹手術によって胃を切除した後は、いろいろな後遺症があらわれます。

この後遺症を「胃切除後症候群」と呼びます。後遺症は食生活と大きく関係しており、日常生活において見過ごせないものとなります。


手術後の後遺症

ダンピング症候群
ダンピングとは「墜落」という意味で、食べ物が腸に墜落して急に流れ込む様子を表しています。もっとも多くみられる後遺症です。


不快な症状
冷や汗が出る
脈拍が速くなる
動悸がする
倦怠感が出る
頭痛、めまいが出る
まれに意識障害が起こる

貧血
胃の切除により、鉄分とビタミンの吸収が障害されて、欠乏することが原因で起こります。不足している分を補うことが必要です。

骨粗鬆症
胃の切除でカルシウムの吸収が悪くなり、骨がもろくなります。カルシウムやビタミンDを投与して対処していきます。

腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)
ヘルニア腹壁の筋肉が閉じずに、皮膚の下に腸が飛び出している状態です。

流性食道炎
胃の手術後には、胸焼けを起こすことがあります。粘膜保護剤や酵素阻害薬などを使用していきます。

胆石
手術後は胆のうの収縮が悪くなって、胆石ができやすくなることがあります。胆嚢炎で症状が強くなったときは手術が必要になります。

胃を切除した後は、体重が減少します。これは、食べられる量が少なくなるのに加えて、吸収効率が悪くなるためです。




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